南極で皇帝ペンギンの生態を追ったフランスのドキュメンタリー。延々と行進を続けるペンギンたちが、たどり着いた営巣地でパートナーを見つける。やがて産卵を終えたメスたちは、体力を使い果たし、エサを求めて再び海へ。オスは卵を守りながら、ひたすら立ったまま2ヶ月。孵化した子どもとともに、メスの帰りを待つ。
どこか着ぐるみの人間のような立ち姿。とことん愛くるしいヒナ。ペンギンのかわいさを満喫できるが、圧倒されるのは彼らの過酷な生活である。極寒の大地で、寄り添うように固まって、何も食べずに過ごす。卵が割れて、他者の卵を奪おうとする。大自然とペンギンの本能の関係には、ただただ目を見張るばかりだ。本作が他のドキュメンタリーより優れているのは、声の名演技にもある。シャルル・ベルリングら3人の俳優たちが、父、母、子どものペンギンの思いを語り続け、厳しい大自然の世界に、心安らぐ空気を生み出す。このあたりもフランス作品らしい文学的な味わい。(斉藤博昭)
極寒の南極で生きる皇帝ペンギンたちを追ったドキュメンタリー。愛らしい子ペンギンは無心で親を求め、親は無償の愛で子を慈しむ。彼らが過酷な自然環境の中で親から子へと命を繋いでいく姿を描く。メイキングなどを収録した特典ディスクも封入。
1
鳥好きな人にはたまらない映画 2005/8/27
ポスターのヒナの可愛さに誘惑されて見に行ったのですが
予想を超えて良かったです。
南極で生きる皇帝ペンギン達の姿が
シビアに、詩情豊かに描かれています。
取り方によっては野生の王国になりかねない作品を
あそこまで、詩情豊かにしてしまうとは、さすがというか、フランス人の感性は凄いなと思いました。
特にペンギンの求愛のシーンは、
まるで演技させてるんじゃないかと思うぐらい美しかったです。
ペンギンのフォルムを辿るあの撮りかたが、
物凄くエロティックで、
これは子供向けじゃないよなと思いつつ見てました。 ナレーションに関しては、あまり評判よくないですが、
私は結構好きで、しかも吹き替え版より
字幕版の方がフランスらしい詩情に溢れてて好きだったりします。
(微妙な違いですが)
エミリー・シモンさんの音楽もよかったです。 それにしても、彼らの生きざまには本当に感動させられました。
生きる。この当たり前の事が、一歩間違えれば当たり前でなくなる世界。
それでも、卵とヒナを守るために
黙々とブリザードに耐えるオス達の姿を見て
生きるとはなんなのか、命を繋いで行くとはどういう事なのかを
考えさせられました。
なんか、人間なんかより、よほど立派に思えましたよ(笑)
2
フランス人にはドキュメンタリーは無理・ 2005/12/19
こういうドキュメンタリーはやはりイギリス人が一番。
海洋ドキュメンタリー「ディープ・ブルー」は素晴らしかった。
客観的に物事を紹介する姿勢・BGMのセンス
適度かつ効果的なナレーションの情報量・・・
どれをとっても本当に素晴らしかった。
さてフランス人のつくった、この「皇帝ペンギン」はどうか。
「再び君に会えたね。」
「無事だったのね、あなた。嬉しいわ。」
「さあ、一緒に愛のダンスを踊ろう。」
ナレーションで愛を勝手に乳繰り合わされる、ペンギン夫婦。
映像素材は素晴らしいので、それに引き込まれて見ていると
上記のような擬人化された、ペンギンのおしゃべりパートに出くわす。
しかも色恋の大好きなフランス人らしく、無意味に甘ったるい。
なので、いきなり興ざめする。
この所々ある擬人化の手法が、映像を台無しに。
よく見ると、スタッフロールには「脚色」という役柄がある。
「脚色」って・・・
また「ペンギンの行進距離」や、「子供を失ったペンギンのその後」
「なぜ、わざわざこのコロニーで子育てなのか?」
「父親が子どもに与えるペンギンミルクとは何か?」など
映像を見ながら教えてくれたら、「ほほう」と思うような
知的好奇心を満足させるナレーションが、ほとんど入っていない。
これらの情報は、オマケについている付属の本には書いてあったのだが
映画だけ見た人は欲求不満にならなかったのだろうか?
物事を客観視できない、フランス人らしい?中途半端なドキュメンタリーである。
BGMも個人的にはペケ。エミリー・シモンという
フランスのポップスの若手女性歌手を使っているのだが・・・軽い。
こういうのは重厚なクラシックがあうと思うのだが。
同じ映像素材でイギリス人につくらせたら
どうなっていただろうか?
3
ペンギンは死ぬほどかわいいのだけど 2005/11/29
ともかくペンギンがかわいいです。
立ってるだけでも死ぬほどかわいいペンギンが、歩いて、泳いで、ついでに転びまくります。
思いっきり癒されます。
ただ、南極大陸で、厳しい冬を越し、子育てを行うペンギンを擬人化ししゃべらせることでその過酷さを表現しようとする演出に賛否が分かれるところ。
僕は、この演出がいやらしく感じ、評価を下げる結果になりました。
NHK的な淡々としたナレーションなら素直に受け入れることが出来たのではないかと思うと、すごく惜しい作品です。
4
おごそかでいとしくて 2006/7/7
この映画の脚色部分やセリフに、違和感を持たれる方は少なくないみたいですね。
劇場で吹替版で観たとき、正直私もかなりあのセリフには興ざめでしたが
DVD購入して字幕で見てみると、仏語わからないのでBGM化したのかそれほど気にはなりませんでした。
それにしても… 特典映像にある1時間余りのメイキングを見てショックを受けました。
念願かなって南極で撮影が出来ることになり、監督を含め撮影スタッフ3人(だけ!)
1時間もかけて服装を整えないと外に出られない寒さの中でも、
皇帝達の姿を間近にできる日々、何と喜びと笑顔に溢れていることか。
それがある日、ホワイトアウトでキャンプに戻れず、撮影とは関係ない基地の人が
助けに来てくれなければ、スタッフ全員死んでいたかもしれなかったそうです。
1ヶ月も撮影にブランクが空いてしまった後、喜びいさんで現地に戻ると
続いた嵐のせいで相当数の雛が死んでいて、「再会は葬送のようだった」と。
ヒナ達の、ペンギンの中でも図抜けた愛らしさや、
胸をぴったり合わせて微動だにせず立ち尽くす、親カップルの官能的な姿。
極限の環境下で生命のおごそかさ、いとおしさを見せてくれる皇帝ペンギンも
毎年沢山のヒナや親達が、とてつもない寒さや飢えや捕食者のため死んでしまう。
目の前でそれを嫌というほど見せ付けられた人にとって
リアルなだけのドキュメンタリーにするのは、かなりつらい事なんじゃないかと思いました。
リアルにするだけが「作品を作る」ことではない、とも。
あの地で命を繋ぐことの困難さは、観た人全てに伝わっているし。
DVDだけでは我慢ならず、ドイツ製のヒナのぬいぐるみまで買ってしまいました。
これからもずっと皇帝達の行進が続きますように。そう願わずにいられません。
5
可愛い姿と極寒の厳しい環境の対比 2007/2/28
大好きな映像です。ただ極地のペンギンを撮影しただけなのに、公開時も含めて、ここまで支持されたのは、ほかに何もないような極地の映像のすばらしさに加え、ナレーションなどで家族ストーリー風にした点ではないでしょうか。よく見れば、ペンギンも両足で直立して歩きます。首を下に向けて、子供と戯れる姿は、かわいらしいだけでなく、どこか人間的で、人間のナレーションがしっくり来ます。
映像美と音で別の宇宙を見せるようなアート感覚のグランブルーなどよりも、キタキツネ物語や往年のディズニーの動物ドキュメンタリーに近い、ドラマ性のある作風です。
こんな可愛い彼らが、凍り付くような南極のブリザードや、限られたえさ、様々な外敵――と戦う姿は、けなげで、最後には、その直立する勇姿に対して、「まさに皇帝」と称えたくなりました。
6
皇帝ペンギンの真実 2007/3/7
愛らしい容姿、赤ちゃんのようなぎこちないヨチヨチ歩き、どことなくユーモラスな仕草...ただその可愛らしさが好きだった。特に皇帝ペンギンのヒナの愛くるしさと言ったら、いつまで眺めていても飽きないぐらいだ。こんなにも可愛らしい皇帝ペンギンの映画を見ない手はない。その程度の認識だった。撮影に8880時間をも費やし、極寒の地における皇帝ペンギンの生態を追ったこの映画は、そんな私の皇帝ペンギンに対する認識を見事に覆してくれた。
彼らは、繁殖のため繁殖地であるオアモックまでの100キロもの道程をただひたすら行進する。産卵を終え体重の1/5程を失った雌達は、自分自身と雛の命を繋ぐため、エサを求めて再び海に向かって旅立つ。卵を託された雄達は、零下40度にもなる真冬のオアモックで、時速250キロ以上にもなるブリザードに耐え、120日間何も食べず、ただひたすら足の上に乗せた卵を暖め続ける。
この様な過酷な環境に身を置くのは皇帝ペンギンだけなのだそうである。外敵から新しい命を守るためとは言え、何故に彼らの先祖はこの様な過酷な道を選んだのだろうか・ 我々人間は、この地球上で最も優れた生き物は人間だと思いがちである。しかし、尊厳すら感じさせる彼らの生き方を思うにつけ、グータラで脳天気な私なんかよりも、皇帝ペンギンの方が遥かにエライ!! と素直に思えてしまうのである。
動物園や水族館で飼育されている皇帝ペンギン達は、零下40度に耐える必要もないし、ブリザードにさらされる事もない。繁殖のために、気の遠くなる様な道のりを行進する必要もない。決まった時間にエサが与えられるから、空腹に耐える必要もない。しかし、あの狭い水槽を泳ぎ回ろうとすれば、壁とガラスが立ちはだかっている。人工雪が降って来る事はあっても、お日様の光を存分に浴びる事は出来ない。これは全く逆の意味で、彼らにとって過酷な環境だと思えて仕方がないのである。どんな困難が待ち受けていようとも、彼らだって故郷のオアモックに帰りたいに違いない。この作品はそんな事も考えさせてくれた。
7
地球上で最も過酷な極寒の極地で生きる皇帝ペンギンの姿に心を打たれる作品 2007/2/12
皇帝ペンギン。
その愛くるしい姿からは想像も出来ないほど驚異的な生命力、しかし同時に儚い命。
生存競争の激しい環境をあえて避け、
競争はないものの、南極の平均-40℃という、地球上で最も過酷な極寒の極地で
仲間と親子で力を合わせ生き抜くペンギン達。
卵を産むのに体力を使い果たし、体力回復と生まれ来る雛のため、雌ペンギンが餌を取りに数十日も旅をする間
雄ペンギンが卵を足の上に抱き、4ヶ月も何も食べず、太陽も姿を見せない暗闇-60℃時速150kmの猛吹雪の中、
仲間で身を寄せ合い、押しくらまんじゅうをしながら卵を守り耐え抜き、
じっと雌の帰りを待つ。
そしてようやく雌が戻り、決死の後の家族の再会、お祭り騒ぎのように興奮する群れ。
しかし家族の再会も一時、大仕事を終え体力限界の雄は餌を取るため海へと旅に出る。
再び家族の元へ戻れないかも知れない決死の旅へ。
圧巻、頭が下がる思い、そして生命の力強さを感じさせ、心を震わせる。
そして冬を耐え生き抜いた親と子のペンギンたちは、夏の海の大空へと羽ばたく。
自由に海の空を羽ばたき、また数ヶ月後仲間の元へ戻ってくる。
そう再び仲間と共に、命のリレーをつなぎ、冬を耐え生き抜くために。
青白く透き通ったこの上なく美しい世界、けれど死に最も近い過酷な氷の世界。
そこで生き抜く皇帝ペンギンの姿に、改めて生き物の驚異的な生命力と、同時に
ちょっとした事が即、死につながる、ガラスのように壊れやすい命の危うさ儚さ。
極地で生きる彼らがたまらなく愛おしく、心を打たれる作品である。
8
美しい世界 2007/3/1
フランス語というのはどうしてこうロマンチックな響きがあるのだろう。
皇帝ペンギンがフランス語でなかったら、ここまで印象深い映画になったかどうか。
日本には動物番組が多いので、皇帝ペンギンの厳しい冬越しや子育てはすでに知っている人がおおいだろうが、そこにフランス語がかぶるとなんとも違って見える。
映画館の大画面で見るとそれはもう美しい世界観であった。
出来れば家でも大きな画面のテレビで見てほしいものだ。
ただし、見終わるとあたたかいものが食べたくなったりする。
9
厳しくも暖かい、そして全編が美しい南極の自然の映像のドキュメンタリー 2007/6/10
・・
皇帝ペンギンの生態を南極の地で追ったフランスのドキュメンタリー。
秋・ペンギン達は営巣地に向けて行進を続ける。そこでパートナーを
見つける。妻達は、産卵を行うと再び海へ。夫は卵を守りながら、
立ったまま2ヶ月、ひなが生まれるのを待ち続ける。やがて海へ向かった
妻達がエサと共に営巣地に帰還し、再開を果たす。
水族館でみられるかわいい仕草や、ミサイルのような泳ぎだけからは
想像も出来ないペンギン達の厳しいながらも、たくましい子育ての
物語が描かれる。
ドキュメンタリーでありながら、様々なカットをうまく編集し、
夫役、妻役、子役など複数の声優達が、ペンギン達の行動に、
ペンギン達の思い・考えをアテレコすることで、ペンギン達の
ドラマを作り出している。
そして、全編を通じて流れる静かな音楽。フランス語の優しい
ナレーション。次々と移り変わる南極の光景はとても美しく、
誰もが感動できるだろう。
NHKのプラネットアースなどが好きな人にはお勧め。
BD版などハイビジョン作品が登場したら、そちらでもみてみたい作品だ。
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余計な台詞にイライラ 2005/12/25
ドキュメンタリーに、台詞はいりません。
必要最小限のナレーションを、淡々としてくれれば
いい。観ている側に、考えさせてほしい、感じさせて
ほしい。
特に野生動物を撮ったものは、もうその映像だけで
充分魅力があるのです。
なのにこの映画は、俳優を使って台詞を入れることで、
無理に男女愛、親子愛、家族愛に仕上げている。
こっちが感じる暇を与えないくらいに、感情の方向付けを
しようとしている創りに、終始イライラされられる。
個人の好みの問題と言われれば、その通りだけれど、
ドキュメンタリーは観終わったあと、あれこれ考えさせて
ほしいです。
この映画は、期待はずれでした。