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ビル・マーレイが愛しい 2006/9/6
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ジム・ジャームッシュ監督がビル・マーレイを主演に、チョイ悪ならぬ『チョイだめオヤジ』がたどる数奇なロードムービーにして、シニカルな笑いと心温まる雰囲気が同居した不思議な映画です。哀愁漂うオフビート・コメディと言ってもいいかな。でも、人によっては、『変なダメ映画』と映るかもしれません...。
かつてのプレイボーイが、自分の息子がいるという差出人不明の手紙を手に、昔の恋人たちを訪ねる旅に出るという設定自体が滑稽で、それがいかにもジム・ジャームシュの映画らしい。本当に息子はいるのか、それとも、デマなのか、とすると、その手紙を出したのは誰か? 等々、考えれば考えるほど面白い。
主演のビル・マーレイは、くたびれオヤジの、演技とも素顔ともとれる自然なたたずまいが、愛らしい。長年避けてきた過去の責任と向き合い、今を見据えながら、未来にささやかな希望を見出す。その「情けない、でも憎めない」中年男の心の変化にシンパシーを感じるのは、私が『中年男』だからだけではないと思います。
ドンが20年前に関係を持った4人の女性たちは、突然現れた彼に、ある者は温かく、ある者は手痛く歓迎する。演じるのは、シャロン・ストーン、フランセス・コンロイ、ジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントンという豪華な面々。少々年は加わったが、まだまだ美しい女優陣が、それぞれの流儀でかつての恋人と向き合うエピソードは、どれもが1本の映画になりそう。
全編を彩るエチオピア音楽も心地よかったし、ちょっと呆気に取られるエンディングもこの映画には合っていたね。
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花は萎れたままなのか 2007/1/15
私にもその気があるのですが、映画にカタルシスを求める人には不向きな作品です。
決定的な証拠がないまま、「謎」は―現実世界でのそれがそうであるように―「謎」のままです。ピンクのアイテムやタイプライターのような状況証拠が散りばめられては裏切られ、そのたびにビル・マーレイとともに観客は翻弄されます。そしてまるで結末を急ぎ過程を観ようとしない者をあざ笑うかのようなラスト。でもビル・マーレイをぐるりと一周するショットは、何が本当か全く分からないことへの当惑と、息子がいるのなら一目会ってみたいというドン・ファンらしからぬ感情を抱いてしまったことへの驚きを同時に感じさせます。この映画は謎解きではなく、ニヒリストが心を動かされるまでの経過を綴ったものです。萎れた花が一雫の生気を取り戻したのかもしれません。
3
無敵のコンビ 2006/12/6
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ただ立っているだけで笑いが取れる俳優、ビル・マーレイの情けなさと、とぼけた虚無感を終始前面に出した映画。マイアミ・バイスの主人公と一文字違いの主人公に届いた「あなたの子供がいます」という差出人不明の手紙を元に、20年前に付き合っていた4人の女性達を訪ねるロードムービー、ということになるのだろう。
ビル・マーレイを起用したとぼけた映画であれば、どうしてもウェス・アンダーソンの映画(『ライフ・アクアティック』など)と似た印象を一部持ってしまう。例えば、今作で主人公はフレッドペリーのジャージを着ているがアンダーソンの『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のアディダスを連想させるというように。
しかし空虚さの度合いがアンダーソンの作品よりも絶望的に深く、過去を辿る道程で現在の自分を再発見しようといった目的意識は皆無で、それが今作のユニークな魅力となっている。
女性達の家や家族、短い会話の内容は、それぞれが主人公と別れた後の20年間の人生を想起させる見事な描写だし、アメリカの田舎の枯れた色彩感と、その中にある特別美しくもないピンクの花束は、空虚を通り抜けて美しい。
そもそもゴールも教訓もない映画で、事件も無く何の達成も発見もない空虚さを、映像芸術に昇華するジャームッシュの才能には毎度のことながら驚かされる。 マーレイ&ジャームッシュは、このジャンルでは無敵のコンビだ。
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コメディーとして見るしかない 2006/11/3
消化不良満載。この映画を見ると、非常にスッキリしません。
だから、真剣に見ようとしたり、未だ見ぬ息子とその母親探し的ストーリーに、感動を求めようとすれば非常に不愉快な印象が残るでしょう。
この映画はコメディーです。ビル・マーレイの困った表情と、ごたごた劇を嘲笑しつつ温かい目で見守ってあげるだけでいい。
誰が母親で誰が息子なのかなんて本当はどーでもいいんです。
一番気に食わなかったのは、クロエがどーでもいい役を引き受けた、ということです
5
自分の人生見つめ直してみませんか・ 2006/11/21
プレイボーイの主人公が、突然届いた一通の手紙により
19歳になる息子がいることが発覚します。嘘か本当か
誰との子なのかを確かめるため、主人公は20年前の恋
人達を訪ねる旅に出ます。
自分と関わった人たちがそれぞれの人生を着実に歩んで
いるのを目の当たりにして、今も昔も変わらずだらしな
い生活をしている主人公は自分の人生に虚しさを感じま
す。
ラストについては賛否両論あるようですが、ハッピーエ
ンディングでもバットエンディングともいえませんが、
主人公の、自分の生きてきた証、人生の意味を確かめた
い、これから築いていきたいという心情は痛いほど伝わ
ってくるラストだと思います。
この映画は、ある程度歳を重ねてからまた観ると違って
見えてくる映画かもしれません。
6
コメディーではありません 2006/11/25
ところどころニヤリとする所はありますが、コメディーではありますせん。 ラストに納得がいかない方が多いようですが、私はとても良かったと思います。 映画には、作者の思いを多くの人に伝えたいという独りよがり的なモノと、想像力を刺激して人を楽しませるモノとが有ると思います。この映画は後者であり、結末が語られていない為に戸惑うのでしょうが、難しい事を考えないで、足りない部分は勝手に自分でストーリーを創ったりして楽しめば良いと思います。…想像力の無い方にはお勧めしません。
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ビル・マーレイとジム・ジャームッシュ 2007/3/22
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昔は派手なおしゃべりと表情が売りだったビル・マーレイもここのところあまりしゃべらず苦虫をつぶしたような顔と妙な間でスクリーンに存在感を出している。
ジム・ジャームッシュと組んだ本作でも、妙な間とジムが映像に仕掛けた数々の小ネタの相乗効果で終始おかしな雰囲気が漂わせている。
手紙を送りつけた張本人を探るべく、なかば無理やり旅に出された主人公が再会する昔の女達の趣味のバラバラ具合と、そこかしこに現れる手がかりの「ピンク色のもの」の存在。
笑わせよう、笑わせようというギャグではないサラリとした小ネタ満載で何度もニヤニヤしてしまった。
賛否両論のラストシーンも、私は主人公のどうしようもない気持ちを表していて好き。
ジム・ジャームッシュは、ソフィア・コッポラ(「ロスト・イン・トランスレーション」)よりもウェス・アンダーソン(「ライフ・アクアティック」)よりもビル・マーレイのおかしさを上手く引き出していると思う。
これは上質のコメディだ。
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ジャームッシュで2番目に好きだ! 2006/9/8
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待ったなあ。ジム・ジャームッシュ監督6年ぶりの本格長編ロードムービーだよ。あらすじはザッとこんな感じ。独身、金持ち、女ったらしの、盛りを過ぎた中年男ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)のもとに、「あなたの息子がもうすぐ19歳になります」と書かれた差出人不明のピンク色の手紙が届く。困惑するドンは、おせっかいな隣人ウィンストン(ジェフリー・ライト)に背中を押され、手紙の主を探すため、アメリカ大陸横断の旅へ。
手紙の手がかりを求め、全米に散った20年前の恋人たちを訪ねるドンを迎え撃つのは、シャロン・ストーン、フランセス・コンロイ、ジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニーという超豪華女優陣。ビル・マーレイが哀愁とちゃめっ気たっぷりに好演するドンが、個性派ぞろい女性たちと、どんな再会を果たすか。これは女優ごとに凝ったエピソードが用意されてるうえに、ベテラン女優陣の競演は見応え充分で、大いに見もの。
映画的起伏に欠け、淡々と進む、ジャームッシュならではのテンポが、予定調和を軽やかに切り崩していく、これこそオフビートな快感。それでいて、心にギュッと迫ってくるのだ。とぼけた笑いの隙間を突いて、ドンが抱える孤独と切なさに胸を打たれる。
2005年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞も納得の1本。ジャームッシュ作品としては「パーマネント・バケーション」の次に好き。あれは卒制だから、事実上のナンバーワンかも。音楽もサイコーだし、とにかくファンは必見!
9
花を贈りたくなる映画 2007/3/11
ジャームッシュ作品の魅力は相変わらずデタッチメントとかドラマ性の拒否とか洒落たユーモアとかにある。この映画でもそれは十分に健在で、ある意味では観るものを安心させてくれる。
企業再編でリストラクチャリングされそうなダメ中年、ビル・マーレイの配役をIT長者としてしまうあたり、そのとぼけたユーモアのセンスが冴えに冴えて面白い。
この映画はクライマックスに向かうにつれ少しずつドラマチックになっていく。だけれど、伏線みたいなものをいくつか仕掛けておいても、それはあくまで仕掛けただけ。ストーリーを展開させるために仕方なく仕掛けたといわんばかり。ラストには、これは重要だろうという伏線を一生懸命拾ってきた観客を、盛り上がってきた観客を、ジャームッシュは「あ~、そんなことしたっけなぁ」といった感じでスルリとかわす。そして、どうでもいい結末が、誰も望んでいない結末が、すっとぼけた顔をして面倒くさそうにやってくる。唖然としてしまう。だけれど、なんだかおかしい。。
観終わったら、誰かに花束を贈りたくなってしまった。そんな映画ってちょっとない。
きっとこれは、花束を日常に添えることがとても豊かなことだと、婉曲に教えてくれる映画なのだろうと思う。
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★ラストに納得がいかず★ 2006/9/11
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なんだか最近多い、実は昔の彼女に子供ができていた系のお話。
これも他と同じく、思いもよらず、「あなたには19歳の子供がいます」
といった内容のピンクの封筒に入ったピンク色の手紙が届きます。
この主人公は探す気もないのですが、おせっかいな友達の後押しで?
イヤイヤ探しにでかけます・・・
誰が母親かも分からず、当時付き合ってた彼女を次々と訪ねます。
女性達とのやりとりにもなんだかんだでユルユルと楽しめ、段々と
物語にはまっていくのですが・・・ 最後の最後でえ?!と思ってしまった。
これはいったいどういうことなのか、と。消化不良に終わりました。
なんでもナゾを解くのがいいとも思いませんが、これはどうかと思います。
ラストがよければ、満点だったのですが。わたしにはあわなくて残念。