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イル・ポスティーノのレビュー

郵便配達人に捧げる鎮魂詩  2007/4/4

・・ イル・ポスティーノ(郵便配達)の日常をあるがままに描いた本作品を見ていると、毎日満員電車ゆられてあくせく日本で働いているのが本当に馬鹿らしくなる。イタリアの小島に逃れてきた実在の詩人パブロ・ネダール(フィリップ・ノワレ)と、彼に郵便を届けるためだけに雇われたマリオ(マッシモ・トロイージ)との交流が、マリオの恋を成就させるための詩作指導という形で描かれる。 南イタリアの漁村を取り囲む自然環境は実にのどかで、登場人物の素朴さとあいまって観客をすっかりリラックスさせてくれる。まったりムードに癒されたまま終わりを迎えるのかなと思いきや、本作品は意外な結末を迎えることになる。 実は主役のマッシモ・トロイージが、映画のクランクアップからわずか12時間後に他界するという悲劇が起こったのだ。心臓移植の時期を遅らせてまで撮影にのぞんでいたというマッシモを悼む意図があったのかはわからないが、彼の非業の死を連想させるラストには思わず心が打たれる。さぞや心臓に負担をかけたであろうと思われる、坂道を自転車で立ちこぎするシーンが痛々しい。



詩の誕生  2007/5/31

映画は島の郵便配達員と、届け先の滞在する有名詩人の出会いと別れが話の内容だが、 詩の誕生の秘密が語られていて楽しい。 字もあまり読めるとは言えなかった主人公が、「隠喩」という詩の手法に触れて、詩の誕生を経験する。 そして島の娘への恋情を綴る恋文というかたちから、彼の詩に目覚める。 その娘の抱いてもいない肉体の官能を、隠喩でみごとに描くので、手を出したと誤解されて、母親代わりのおばさんから目の敵にされるのがおもしろい。 彼が島の風景に言葉を与えていくという、詩人の去った後の日々も情緒がたっぷりで胸を熱くさせる。 この主人公を演じた役者は、彼の最後の映画だとわかっていて出演しているらしいのだが、まったく肩に力の入らない、とても素晴らしい演技だ。 詩の誕生、詩人の誕生を誰にでも理解できそうなこんな映画というかたちでお話にできた。 それはある意味ではちょっと興奮させるものでもあったし、イタリア映画らしい情に満ちた話でもある。 その情という意味では、『ニュー・シネマ・パラダイス』みたいに、やっぱりラストシーンは、やや溺れぎみに描いてしまったのは、これはイタリアの国民性かなあとも思うけれど、素敵な映画でした。



坂道をマリオが自転車で登るシーンが印象的  2006/6/4

 貧しい漁師の息子(マリオ)と祖国を追われた裕福な詩人が出会い、お互いに惹かれていく。詩人はマリオに言葉の魅力を伝え、マリオの感性は詩人を悦ばせる。マリオは結婚し、詩人は帰国が許され離れていく。マリオは詩人の思想に共鳴し、政治集会で詩を発表することになるが・・・。  全体を包むゆったりとしたトーンが、久々にヨーロッパ映画を観たせいかやけに心地よい。貧困と無知と思想は映画が最も多く取り上げる材料だがこれらがほどよくミックスされている、つまりどれかが突出して描かれているわけではないことが心に沁み入る映画となった理由だろう。  終盤の詩人の行動には若干疑問が残る(詩人はマリオを親友だと思っていたのではないか?)が、南イタリアの島の美しい風景の前ではそんなことは問題なかろう。



映画とはこういうもの  2006/11/28

ハリウッドの制作費何百億円かけたとかいうくだらないクレジットに飽きた方が見るべき映画。ヨーロッパ映画ファンの私が久しぶりに感動しました。しかも公開から10年後にはじめて見ました。イタリアの小島、素朴な人びとの生活、きもったま母さん、美しい姪、そしてパブロとマリオの美しい言葉のささやき。 やはり悲しいかな 現実とオーバーラップする死。見る者の胸を締め付けます。これが本来映画のありかたと思う秀作です。



完璧  2007/2/25

イタリアのきれいな風景が描かれている。また天才詩人のパブロ・ネルーダもイタリアや世界の時代の背景に影響されている様もこの映画でも観ることは出来る。繊細かつ淡々と語られている詩やネルーダが口にする人生に対する哲学も興味深い。ポスティーノ=郵便屋でポスティーノは数々の美しい言葉を今も世界で配達している。



何度見ても素晴らしい  2008/1/26

私はこんなに素敵な映画をほかに知らない。 きっとこの映画を見たら、誰でも詩を読んだり、書いたりしてみたくなるはず。 ネルーダが語る、詩についての何気ない一言がとてもいい。たとえば詩人になるには?この質問に対する回答。 ラストはとっても切なくなるけど、あの余韻がなんとも言えず素晴らしい。



目には見えないけれど  2008/3/1

・・ 余韻を残して(映画からも地上からも)去っていたマッシモ・トロイージが美しい。 人の心は目には見えないけれど、詩人の言葉が心を表現し、 詩に目覚めた男が自らの心も発見していく。 人にも己にも誠実に、互いに信頼していくこと、 別れや死を超越し、生きることの幸いを強く訴えかけられます。 人の値打ちは(当然ながら)財産や外見ではないことを思い出しました。 超大作の映画だけが名作でないことも。



イタリアの魅力満載!  2006/8/12

シチリアの綺麗や海と雄大な山。 陽気で日焼けした男たち。 そして心地よいイタリア語とBGM。 イタリアが大好きな方には迷わずオススメできる作品です! イタリアが恋しくなると引っ張り出します。 マッシモ・トロイージの素朴で自然体の演技が感動を呼びます。 (心からご冥福をお祈りします。)



まさに詩のような物語  2006/10/11

美しい風景を堪能するだけでも十分ですが マッシモ・トロイージのファーストカットでは虚ろな表情が、徐々に光を帯びていく様も必見です。 「イタリア映画」にふさわしくサントラもでしゃばり過ぎずに印象的で美しい! ミステリーもどんでん返しも忘れ、まっすぐ受け入れたい作品です。 マッシモ氏の体調不良で、本人は全く自転車に乗っていませんが(一部スタント有りだったかも?) 話を聞くまで気がつきません。  ↑ それ本当?と思ったら、観た事ある人もない人も・も一回確認してみましょう 普通に最後まで見ちゃっても損はありません。



人を信じる心。  2007/9/3

かなり前にすでに鑑賞していたのですが、ここでレビューを書いてみます。 物語は、郵便配達の普通の人間と、著名な人間とのちょっとした交流のあと、 いつまでも、その人を信じ続ける実直な郵便配達員の姿についての映像と音楽なのですが、 とても心を打たれました。 ラストシーンは、映像にない深いメッセージがこめられてると思われます。 すなわち、人間にとって大切なのは、 人と人とがわかりあえることの困難な今においてなおも人を信じ続ける心、 あるいは、人間にとって何かを信じ続けることこそ、尊いものであるということです。 そして、この映画においては人間の友情というカタチで描かれているのかと思われます。 ほんとうに美しい映画です。 また思い出し涙が出てきたかも(まじもう書けない、わーん!)。 記20070903



ありき  2007/10/17

「私」は、家族や、友人や、恋人や、先生や、 さまざまな人々との、関わり合いの中で形成された「私」である。 もし、あの時、あの人と出会ってなかったら、私はどうなっていただろう……。そう思うと ぞっとすることすらある。おそらく今とは違った私になっているだろう。 それは、私に限ったことではない。 全ての人は、人ありき、で今に至っているはずだ。 だからこそ、一つ一つの出会いは、本当に大切なもとなる。 とある島民の一人である主人公の、詩人との出会い。 主人公の人生は、そのたった一つの出会いで、大きく躍動した。 そして、詩人は、友人の死を受け、新たな詩を書くのだろう。



Il decimo Suono di ferite lacere  2007/10/17

主人公はイタリアの片田舎の決して恵まれているとは言いがたい島に生まれた、国家にも仕事にも自分にもヤル気のない人間で、今でいう所の駄目人間といっていい若者。なんだけど、チリから亡命してきた世界的詩人『パブロ・ネルーダ』にふとしたことから郵便を配達することになって少しずつその詩的な目線と触れ合うことになり、自分のまわりにある様々な詩に気付いていく。小さな島の景色や穏やかな音楽に彩られている、その詩的な目線をおぼえていく過程がとてもいい。 あと、これはとても微妙なんだけど、後でとても哀しくなるのが複雑だった。いちばんハッピーなままで終わって欲しかったような気もする。それではハッピーに溺れているような気もする。 とはいえ、おれは詩人と称する生き物達がとても好きなので、この映画はいい。べつになにも残らなくたって詩人は詩人なのだ。あとはなにか好きなように思えばいい。



音楽と海  2008/1/13

何とも言えない切ないメロディ。 主人公の感情に合わせてリズムを変えたり、テンポを変えたり。 学生時代映画のゼミで、この映画の音楽の使い方に関して力説したのを覚えています。 切ない映画ですが悲しくはありません。 ナポリのきれいな海のように、心が澄んでいきます。



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