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ドラマと現実と。 2007/8/31
中学校で女子生徒の転落事故が起こった。彼女と奇妙な縁を持つ女性弁護士(菅野美穂)は、それが「事故」か「いじめによる自殺」か、の真相を突き止めるため、中学校に闘いを挑む。
ストーリーの軸は転落事故だが、それを取り巻く学校・教師・家庭など、様々な人物・環境にスポットライトを当て、それぞれの変化・成長を深く描く構成になっている。一見蛇足に思えるシーン・台詞でも終盤に重要な意味を示す伏線として登場するものも多く、実に巧みに練られたストーリーだ。様々な人物・事件を取り巻きながらも終盤、結局辿り着いたのは何でも無い単純な事実だったという展開は、日常の「危うさ」をさり気無く視聴者に投げかける。
また人物描写も他のドラマのように「安易に感情移入できるもの」にはなっておらず、登場人物を突き放し、彼らの「日常」までも視聴者に見せ、各々の『二面性』を浮き彫りにしている。伊藤淳史演じる理想に溢れた新任男性教師でさえ、そのお人よしな性格から風吹ジュン演じる副校長に洗脳され、あっという間に寝返ってしまう展開がその典型と言えよう。若干現実をデフォルメし過ぎている感もあるが、教壇に立つべき立場にある教師も実は「ただの人間」だった、と思わせるシーンなど、人間臭さを感じさせる場面も多い。
また演出面で特筆すべきは、「いじめのシーンが殆ど出てこない」という点である。劇中最も中心線にあるはずの「いじめの可否」が、ほぼ全て登場人物の証言のみからしか炙り出されていない。これにより視聴者に「想像させる楽しみ」「いじめの恐さ」をより伝えることに成功している。これが昨今のいじめ問題に便乗した作品と大きく違う点である。「分かりやすいもの」が求められる現代のテレビドラマの中であえてこういった作品を送り出した脚本・坂元裕二氏、演出・河毛俊作氏ら制作者のドラマへの思いが伝わる大傑作である。
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新鮮なワード 2007/10/31
とにかく、菅野美穂がよかった。
ありがちなイメージといえばそうだけど、
きっちり感を出すためにかけたという眼鏡とか、常にスーツな感じとか、よかった。
そしてそのスーツが可愛かった。
学校に到着するたびに移る足元も、文系らしい色気がでてて素敵に見えた。
だけど、私がいちばんこのドラマを評価する点は、セリフ。
弁護士という「難しい言葉」を操る人が、
中学生と話すシーンでは優しい口調になりながらも、その理論性を欠かずに対応するところ。
それが良かった。
いじめられてる子にも、優しい口調でありながらも、感情論ではない、真実味のある?理論的な説得。なぐさめ。励ましをしている。
そのような場面でなされる会話シーンは、一見の価値ありです。
テレビドラマでは珍しく、ヒューマンなドラマだったと思います。
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人は独りではない 2007/11/4
前担任の急病のため、喜里丘中学に赴任した加地耕平は2年3組の担任を受け持つ新任教師。出欠の確認時、1人の生徒だけが教室にいないのに気づく。校庭に独りでいる藍沢明日香を見つけ駆け寄った加地は、逆に質問を受けた。先生、「世界を変えることは出来ますか?」と。
数日後、藍沢が教室の窓から転落死した。「死ね」と落書きされた教科書が発見され、それまで明日香を疎んじてきた継母であり弁護士でもある積木珠子は、行政訴訟を起こし学校側と争うことに。はたして、明日香に対するいじめはあったのか?明日香の死はいじめを苦にした自殺だったのか?行政裁判によって明らかにされてゆく
学校内のいじめ問題を素材に人道主義、死生観を提唱した作品。いじめ問題対策は転校やコンセンサス方式のクラス討論と職員会議、つまり、学校環境選択の自由裁量制や言葉を磨き鍛え上げ、粘り強く解決策を問い続けることに着地している。とりわけ、本作の白眉は、人は立場や状況によって、自己保存のため、自己充足のために建前と本音を使い分け思考と言動を変奏させながら、いろいろな「顔」で生き抜く、ということだ。この練り上げられた脚本と演出は日常生活に密着したタフでしなやかな生の応援歌である。学園ドラマにありがちな教師の説教や道徳教育と一線を画する。さらに、「友達、先生、家族じゃなく悲しんでくれる人がいるから、死んじゃだめだよ。生きてなきゃだめだよ!」、友達のいじめの身代わりとなった藍沢明日香が友達を励ます言葉は心に焼きつく。だが、悲しむのはいったい誰なのか?これを氷解した最終話は必見だ。誤解を恐れずに言えば、本編ラストで人間の孤独を解き放つ明日香の言葉は自死に抗い力強く生を肯定する普遍的な“わたしたちの教科書”にほかならない。
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まじめな作品だと思います。 2008/2/7
物語の始まりから終わりまで、とにかく暗い、重苦しい。カタルシスのようなものも皆無。
見続けるのがうっとうしく感じることさえありました。それなら途中で見るのをやめちゃえば
いいだけの話なんですが、それでも最後まで目を離せなかったのは、きっと原作者はいうにおよばず
スタッフ、出演者たちの真摯な態度がひしひしと伝わってきたからなんじゃないかと思います。
キャスティングも地味だしストーリーも巷の話題になるような種のものではなく、
ビジネス的には芳しい結果を得られなかった作品だとは思いますが、とても真面目に作られた佳作です。