ウクライナから移民としてアメリカへ渡り、武器の密輸商人となったユーリーがたどる衝撃の運命。ユーリーのキャラクター像や、エピソードの数々は、実在の武器商人の証言を基に作られている。ソ連の崩壊により、余った武器を、アフリカの独裁国家などに横流しするユーリーを、インターポールの刑事ジャックが追跡。そこに、ユーリーの妻や弟との悲痛なドラマが絡んでいく。
危険な顧客を相手にした、ユーリーの臨機応変の対応が見もので、ニコラス・ケイジが、本心を表情に出さないユーリーにハマリ役。「リベリア」といった実際の国名や「ビン・ラディン」、さらにはアメリカ大統領の責任にも言及するなど、あまりにも現実的な要素やセリフに、観ているこちらが「ここまで描いていいのか?」と心配になるほどだ。世界に存在する銃の数なども、恐ろしい現実を伝える。ただ、映画作品として、全体にサスペンスなのか、人間ドラマなのか、はたまたブラックコメディなのかが曖昧。ジャンルを特定させない不可解さも、アンドリュー・ニコル監督の作風なのだが。(斉藤博昭)
内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより) 『ガタカ』や『トゥルーマンショウ』のアンドリュー・ニコル監督がニコラス・ケイジを主演に迎えて贈るサスペンスアクション。“史上最強の武器商人”と呼ばれた男・ユーリーの実像を描く。撮影風景やインタビューなどの特典映像も収録する。R-15作品。
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この脚本家の映画なら間違いない、ということを再度証明してみせた秀作映画 2006/3/4
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80年代から世界中の紛争地帯で武器を売り込み巨万の富を築いたウクライナ系アメリカ人ユーリー・オルロフ。実在する複数の武器商人をモデルにした人間ドラマです。
脚本と監督はアンドリュー・ニコル。彼がこれまで脚本に関わった映画はどれも極上の一品ぞろいです。「ガタカ」では遺伝子技術の発達がもたらす負の側面を描き、「トゥルーマン・ショー」と「シモーヌ」ではメディアによる情報操作を独特のユーモアにくるんで告発してみせました。スピルバーグ作品の「ターミナル」で鋭くえぐってみせたのは硬直した官僚主義です。一見荒唐無稽に見える物語を通して現代社会の危うさと胡散臭さをついてきた彼が今回選んだテーマは「死の商人」です。
これがまだ長編5作目という彼ですが、その題材選びの目利きぶりには脱帽します。
レバノン、コロンビア、リベリアといった国々の内戦で武器を売り続けるオルロフに、人に自慢できるような政治信念などはありません。自分の売る武器によって誰が死ぬのか傷つくのか、それは知ったことではありません。彼は自身の特長ともいうべき営業手腕をフルに使って世界中を駆け巡り、そのことによってアドレナリンを体いっぱいに吹き上がらせて生きていきます。
しかしそんな彼ですら国際政治の中ではほんの小物にしか見えない現実がラストに待ち構えています。そう、彼はもっと巨大な“彼ら”にとって都合の良い歯車のひとつでしかないのです。
小物に過ぎないオルロフは多くを失うことになります。一方で、動かしがたいほど巨大な“彼ら”は、今後もすべてを手に入れ、肥え太り、そしてひとつたりとも失うことはないでしょう。アンドリュー・ニコルが参加した映画の中で、主人公が何かを手に入れたということを観る者に実感させてくれなかった作品はこれが初めてではないでしょうか。その意味では舌の上にひどく苦味が残る、そしてだからこその秀作映画といえます。
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リアルなエンターテイメント 2006/8/19
素晴らしい映画です。
文字通り手に汗握るサスペンスに織り交ぜて武器輸出にまつわるスキャンダラスな事実を暴き出す巧みなプロット、醜い現実を告発しつつもエンターテイメントとしても成立させる監督の見事な力量、ニコラス・ケイジ&イーサン・ホークのノリノリの大熱演、と この作品には映画の素晴らしい要素がいっぱい詰まってます。ニコラス・ケイジはこの映画の企画段階から自分で希望して出演したそうですが、やんなるかな。
まだまだ、ハリウッド恐るべし。
見てよかった、と心から思える映画でした。
3
視点を変えた反戦映画 2006/7/24
銃弾と銃弾が飛び交う戦争映画ではなく、武器商人の人生を
描いた作品。
武器商人役にN・ケイジを使ったのは◎だったかな。
彼のちょっとコミカルなキャラクターがこの手のシリアスになりがちな
テーマの作品には向いている。
脚本もテーマ性から見て重くなりすぎないように作られており、
この映画こそ、普段あまり戦争映画は見ない人達に
ぜひ見てほしい映画である。
売れっ子の武器商人でありながら、ヤク中になってしまった
パートナーの弟を見て、最初は
弟=精神的に弱くてどうしようもないダメな奴
Nケイジ=冷静沈着で有能な営業マン&武器商人=かっこいい
と思って観ていたが、最後の弟のあのシーンで考えが変わった。
今では人として正しい道をまっとうした弟にひかれる自分がいる。
しかしNケイジの武器商人としての生き方も、もう変わりえない
社会経済システムの歯車の一部としてどうしようもないものだ。
いつの時代も変わらず在り続けるスパイや売春婦のように武器商人も
必要悪の存在なのである。
ラストの、世界の武器輸出産業は5大国が
握っている、が印象的だった。
4
根底には恐ろしいものがあるが映画は面白い 2006/3/15
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主人公は、残虐な性質ではなく、むしろ人間味あるただのビジネスマンといった設定なので、自分が売った武器で人が死ぬことに苦悩したりもするのだが、あまりそうした悩みをドロドロ描くことはなく、ライトなタッチで話は進んでいきます。また、妻や家族に、本当の職業を隠すことで、愛する者を守ろうする描写もあります。もちろん、その愛情は偽善だが、ニコラス・ケイジの人間味あふれる演技が、どこか憎めないキャラクター像を仕立て上げている点は見逃せません。
ユーリーの妻が、だんだんと夫の素顔を知って行くプロセスが面白い。美人ではあるが、「虚名」で世をわたってきた女が、そのことに自ら気づき、かつそういう「虚名」に近づいてきた男の素顔を知ったとき、彼女はどうするか? 演じるブリジット・モイナハンは、「アイ,ロボット」のときは印象が薄かったけど、今回はなかなかいいです。
結局、社会派であるが、押し付けがましさがなく、気軽に見られる映画でした。ジャレッド・レトやイーサン・ホークが免罪符的意味でしかないのは残念だったけど、エピソードのひとつひとつにアメリカへの皮肉が、強烈ではないにせよ、こめられているし、明快。
米軍が撤退するときには輸送コストがかかるので武器をそのまま放置していくこととか、闇商人の最も大きな取引先が米国政府だったりすることとか、AK47ってやっぱり人気があるんだとか、軍用ヘリの武装を外して武器と別々に輸送したら輸出規制にひっかからないとか、ビックリするような事実を知らされただけでもこの映画の価値はあるね。
5
正しくは、『ウォー・ロード』だそうです 2006/3/20
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オープニングの、『弾丸の一生』が、面白かった。
工場で『産まれて』から、戦場で撃ち込まれて『死ぬ』までを、弾丸に密着したカメラが追って行く。
今さらながら、『どうやって撮ってるのかな?』なんて考えている暇もなく、弾丸目線でどんどん進んで行く。
この部分は特にもう一度観たいね。
製作・脚本・監督は、アンドリュー・ニコル。
主人公は、ウクライナ生まれのユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)。
オフロフ一家は、ユーリーがまだ少年のときにユダヤ系と偽ってアメリカに移住し、ニューヨークのブライトン・ビーチに、ユダヤ教の掟に適ったレストランを始めた。
ある日、ロシア人ギャング同士の銃撃を目撃したユーリーは、レストランが食事を必要としている人に食事を提供するように、武器を必要としている人に武器を提供しようと考える……。
観ている間中ずっと、『戦争はなくならない』『武器の需要がなくなることはない』『彼が売らなくなっても誰かが武器を売るようになる』って、何故かひとりで頭の中でユーリーの弁護をしていました。
冷戦終結を絶好のチャンスと捕える、縁故を最大に利用する、取り扱い商品を大事にする。セールスマンには、参考になるところが多いのでは?
武器商人として成長し、最初は鼻であしらわれたライバルの、最後は鼻をあかして気分爽快。
子どもの頃から想い憧れていた女性を、落とすところなんて、純粋で健気でとってもいい。
そういえば日本では、『金で買えないモノはない』と言ってた人がいて、それに対して批判する人がたくさんいたけど、『金では買えないモノがある』って、金のない人のセリフだよね。僕も金はないけど、『金で買えないモノはない』と思うよ。
何かまとまりのないレビューになってしまいましたが、面白い映画でした。
イーサン・ホークは、ルパン三世を追う銭形警部みたいでした。って、違うか……?
6
戦争について考える 武器商人 2006/7/9
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ユーリー(ニコラス・ケイジ)は独裁者に武器を売る、戦争に荷担している。
恐ろしいほど賢いのに、その才能を悪いことをにしか使えない可哀想な男。 監督アンドリュー・ニコルがこの作品の中に描いた男は、何故か同情を感じさせる。 本人が悪いことをしていると言うのを一番よく知っていて、よく知ってるからこそ、逃げ道を知っている、自分をかばう生き方を知っている。
「結局は悪いことをしているんだよ」って、その芯にあるメッセージをあくまでも曲げずに最後まで押し通し伝え続ける力強い作品でした。
7
戦車がずらっと 2006/8/9
並ぶシーンがある。
軍の協力を得たのかと思っていたらすべて実在の武器商人ひとりから
借りて撮影したとのこと。背筋に来るものがある。
そしてどの国家政府も正義正当を口にすることはできないことを思い
知る。
ヴィタリー(ジャレッド・レト)の正気と正義が痛い。
8
シュールでリアリスティックな面白み 2006/7/22
すごいはららした。
武器商人を題材に選ぶというかつてない展開。
武器商人を憎む人やハッピーエンドを期待する人には向かない現実性が高い映画かもしれない。本当に映画の世界なのかと錯覚に襲われる。もしかしたらドキュメンタリーを俳優が演じているのではないかと思ったりしてしまう。
インターポールにつかまったアメリカの武器商人ユーリー。彼は結局、拘置されることもなく釈放される。その時、彼が言う言葉が小憎らしいほど現実的。
皮肉なことかもしれない。武器は人を傷つけ殺す。それなら武器を売らなければいい。単純なことなのだが、世界はそう単純にはいかない。武器を憎むのも人なら、武器を必要としている人もいる、それ以上に武器で利益を得て生活している人もいる。
最後のテロップに、映画の主人公のユーリーの様に個人で武器商人として生活している人たちもいるが、それ以上に武器で大きな利益を得ているのは、世界の秩序と世界平和の維持を掲げる国連安全保障理事会の中で、任期において変わることなく、拒否権を持っている国連常任理事国の5大国。
この5大国の国名を挙げている点はびっくりした。5大国が世界武器市場のほとんどを占めていることは知っていても、おおっぴらに非難など聞いたことがない。どこの戦争でも内戦でも、使用されている武器のほとんどは、5つの大国で製造されたもの。それを映画の中で言い切ってしまうのは正直言ってすごい。感動すら覚える。このまま、どこの国でも放映されるのかしら?少なくともテロップや実名が連想されそうな個所はカットされそうな気がする。
しかし、敵も味方も関係なく誰を相手にしても売りまくる。すごい商魂だ。地球の危険な地域どこにでも行って売る。誰にでも出来る職業ではない。ちょっとシュールでリアリスティックで考えさせる映画だ。
9
新しいアングルの戦争映画 2006/6/8
この映画は兵士の視点からの戦争映画ではなく、直接手を出さない立場からのブラックユーモアな現代戦争映画です。
そして戦争への最高の皮肉を歌った反戦映画です。
おもしろいです。
さすが「ガタカ」のアンドリュー・ニコル。
こんなのもアリなんですね。
欠点はイーサン・ホークがいかにもひ弱そうな体格なので、この人のおかげでリアリティに欠ける面があります。
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現実の脅威 2006/7/16
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この映画は受け取り方によって、かなり評価が分かれてくるだろう。
ベースとなっている武器商人の世界については、かなりリアルに描かれていて、暗躍する彼らの姿や、それに対するメッセージもかなり良く伝わってくる。また、誰もが知りつつもあえてあまり言葉にしない現実も、しっかりと言葉として表現している為に、ストレートに心に訴えてくるものもある。
特に「私が辞めても誰かがやる」というのはかなり現実的な言葉だと思う。
ただ、武器商人の一生的なドラマとしては、やはりイマイチか。
武器商人の存在というテーマを中心に作られているためか、この辺が多少見劣りしてしまう。
全体的には、それなりによく纏まっているとは思える。
映画の内容自体もかなり怖いものがあるのだが、特典映像のなかで語られている、撮影に使った銃や戦車が、現実の武器商人の所有物だ。というのが最も怖い。
ドラマとしての評価は難しいが、現実的なメッセージを訴える映画としては、それなりにインパクトもあり、良作だと思う。