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今となってはありきたりの設定だけど、これが原点。 2007/11/21
刑事の拳銃をすられて、それが犯罪に使われていく。それを追う新米刑事と老刑事。コルトを奪われたという設定だったのでコルト45オートかと思ったらコルトポケット25口径でした。敗戦間もない瓦礫の東京でにぎわう闇市と夜の踊り子劇場。貧から富を求め始めた若者達。老刑事が撃たれ新米刑事が最後は1人で犯人を追い詰めていく。焦る気持ちを抑えて待合室でじっと乗客を観察する描写はなかなか良いです。最後に犯人と対峙して銃声がしても数十M離れた家では何事もないようにピアノの練習をしていたりと人の関心さも描写してます。既に20世紀にハリウッドで誰かこのリメイク権を持っている人がいると雑誌で読んだ事があるけどどうなってしまったんだろう。
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初期黒澤映画を代表する秀作 2007/12/24
“羅生門”で世界の巨匠となる以前の黒澤作品の中ではずば抜けた密度を持つ佳品だと思います。 人によって異論があるでしょうが、私は“酔いどれ天使”の野獣的で自暴自棄な三船敏郎よりも、こちらのナイーヴだけど、内に闘志と同情心を秘めて闘う男の描かれ方の方が好きです。 いぶし銀志村喬の老練なベテラン刑事ぶりもまさに名人芸。
敗戦当時の東京の描写が生々しいです。 今の日本とはまるで違った猥雑な熱気と、そこにオーバーラップする三船のあの鋭い眼光-。 あんな眼をした20代の若手俳優はもはや日本には存在しないでしょう。 志村が雨の中、犯人の凶弾に倒れる場面に流れるあのラ・パロマの調べ、そして三船がその犯人と丸腰で対峙する場面に聞こえてくるモーツァルトのピアノ曲-その後ありとあらゆる監督たちに模倣された、才気溢れる若き黒澤明の快調な音楽演出です。“確かに世の中も悪い。 でも何もかも世の中のせいにして悪いことをしている奴はもっと悪い!”というストレートな主張や、あのラストの犯人のまさに身をよじる号泣。 それを見つめる、同じ境遇を背負ったもう一人の男の胸の内-。 あそこに、敗戦で打ちひしがれていた当時の日本の普通の人々の心情が鮮やかに表現されているのではないでしょうか。 当時黒澤の勇気ある主張に鼓舞された観客は多いと聞きます。 まさに今こそもう一度見直したい日本の誇る名画だと思います。