1
現代のアメリカが抱えるこころの傷 2006/3/28
・・
名門大学の学部長コールマンは、ユダヤ人初の古典文学教授として一目置かれる存在だった。だがある日、講義中に発した「スプーク」という言葉が黒人学生への差別と見なされ、辞職に追い込まれてしまう。以来失意の中で生きるコールマンは、ある時、若い掃除婦フォーニアと恋に落ちる。幼い頃の虐待や夫の暴力など、癒えない傷を抱える彼女。だがコールマンもまた、亡くなった妻にさえ隠していた秘密があった。・・・
幼年期に受けた性的虐待、ドメスティックバイオレンス、人種詐称にベトナム戦争のショック。現代のアメリカが抱えるそれぞれの「こころの傷」がいっぱいの、何ともやりきれない気持ちにさせられる映画です。オスカーを受賞したり、ノミネートされるほどの実力派俳優が4人も集まっているのに、あまり心に響くものがなかったのが残念。それぞれの心の傷や闇は考えさせられるものがあるけれど、主演2人のラブシーンに食傷気味になりました。傷をさらけ出して裸になる、互いに傷をなめあうって、あんな表現じゃなくてもいいはずだと思うんですが・・・。
コールマンの過去には胸に迫るものがありますし、それぞれがこころの傷を抱えながらも不器用に生きる姿に、まだまだ目を背けてはならない問題があるということを思い知らされました。渋いし、深い衝撃を与えてくれるけど、何よりもやりきれなさが心に残る、そんな作品だと思いました。
2
THE HUMAN STAIN 2007/4/15
・・
フイリップロスのべスツセラ-小説THE HUMAN STAINの映画化。監督は、俺達に明日は無い、クレイマークレイマーのロバートベストン。辛い過去を持つ男女を主人公にした、ヒューマンドラマ。黒人学生への差別発言をきっかけに辞職に追いやられたユダヤ人古典教授Wをアンソニーホプキンス、若い掃除夫をニコールキッドが演じています。黒人ながら白い肌を持つシルクの過去と現代を同時並行に話が進んでゆきます。なかなか、根深い現代アメリカの問題を描いた作品です。可也重いテーマの作品だけに、考えさせられる映画です。私は、非常に面白く鑑賞できました。アンソニーホプキンスは、渋い演技で大変良かったと思います。2003年の作品です。白いカラスとタイトルを付けたのは、上手いですね。
3
自己矛盾 2006/9/3
主人公は、人種を隠していたがために、人種差別による糾弾から職を失うことになる。人種を隠すことになった経緯が時系列で描写されるために、いっそう人種差別の糾弾が正当でないことが強調されるのだが、長年培った自己矛盾は取り返しがつかないものになっていた。したがって、ラストに打ち明けることになるが、それ自体意味のないことであることは明白である。非常に緻密な構成です。
4
捌き切れていない重いテーマたち、邦題にも疑問、、、。 2006/5/30
原題「人間の瑕」とあるように、登場人物がそれぞれに抱える心の瑕を描いた映画。
少し重過ぎる。観客はその重みを押し付けられたようで、救いが無いのではないだろうか。
コールマンとネイサンとのダンスシーンも違和感を感じるし、一番面白くないのは、フォーニアがプリンスと名づけられたカラスに語りかけるシーン。
とって付けたようなあのようなシーンは説明的に過ぎ、いらない。
邦題もうまくつけられたようでいて、映画の内容を表現するにはあまりに表面的、断片的だ。人に対する表現としても「スプーク」以上にふさわしくない。
これだけのスタッフ、キャストが揃い好演しているのだが、どこかくすぶったまま終わってしまったような後味の悪さが残る。
例えばエド・ハリスなどもいい味を出しているのだが、その人物像はフォーニアから一方的に語られるだけである。エンディングの、ネイサンとの短い対話もエピローグとして付け加えられているだけで、その意味が今一つ観るものに伝わってこない。彼の演技以前の問題だ。
このように、活かされていないシーンもいくつかあって、フィリップ・ロスの原作の重さが捌き切れていない。
5
狭く 短く 儚く そしてやわらかく。 2006/6/9
とりあげられているテーマがテーマなうえに
キャストにも心ひかれ、描かれるドラマに過剰に期待していので
最終的な結末のあっけなさにこちらの髪が真っ白になるかと思いました。
ニコールキッドマンは綺麗だったけど、綺麗なだけだったし。
人種を偽る老いた男コールマンと
自分は孤独でなくてはいけないと思い込む女フォーニア。
その二人が惹かれあう過程はいまいちしっくりきませんでしたが、
車の中でそっと寄り添う二人に流れていた穏やかな時間が
狭い空間の中であまりにも短く、儚かった。
そこにすべてが凝縮されていたように感じました。
告白のシーンがあまりにもあっさりしていたのだけが残念。
材料は良いのに塩コショウに出汁もたりない。
そんな後味。
6
何とも複雑 2006/10/9
御気楽平和平等大国日本の典型的一国民としては。
重すぎるテーマ。
人種差別。
計り知れない内面の苦悩。
スプークに描かれるアメリカの厳しさ。
世界の現実の厳しさを再認識させらる作品。
7
秘密 2006/11/9
アンソニー・ホプキンスが演じる初老の元大学教授は、いわれのない
中傷を受け仕事と妻を失い、自分が望まないセカンドライフを余儀なくされる。
そんな中で、唯一の救いは、フォーニア・ファーリーの存在です。
フォーニア・ファーリー(ニコール・キッドマン)は、養父の性的虐待、
ベトナム帰りの夫の暴力、そして過失による子供の死。
辛い過去を考えないように郵便局、農場、大学の清掃と忙しく
働いているように見える。
コールマン・シルクは、フォーニア・ファーリーにのめりこむが、
そこには、別れた夫の存在があって危険がはらんでいる。
友人は、女と別れて平穏な生活を送るべき
と言うが、いまさら後戻りはできない。
コールマン・シルクは、生まれながら白い体を持った
黒人であり、白人として生きる為、育った家族を捨て
最愛の妻にも死ぬまで秘密を守り続けた。
初恋、仕事、家族との離別、傷ついた記憶は、誰でも
忘れられない。主人公は、偽りの生活を続けて来た末に
最後の恋で心をさらけだしたのだろうか?
自分なら、心の中にある秘密けして口にしないと思う。
ちなみに魚座は、けして秘密を打ち明けたりしないらしい。
8
タイトルに関心、ストーリーもなかなか面白い 2007/8/25
情感豊かに生涯をかけてある秘密を隠し通した男の物語を綴る。孤独な老教授の(アンソニー・ホプキンス)は
差別発言により辞職に追い込まれる。彼は運命の女性、フォーニア(ニコール・キッドマン)と出会い、
何も気どらないフォーニアに全てを捨ててまで愛情を注ぎ、生きがいを感じる様になっていき
亡くなった妻にさえ言わなかった、ある”秘密”を初めて他人に打ち明ける・・・。
彼が全てを賭けて貫こうとする最後の愛の相手に、心に傷を持つ人々をリアルに描いた珠玉の人間ドラマが胸を打つ。
邦題の『白いカラス』とは主人公のアンソニー・ホプキンスを皮肉った、味のある題名だ。