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ここ数年で最高の映画 2006/7/6
この群像劇では様々な人達が衝突するが、その多くは自分の正しさを信じながら他人を攻撃する。しかし時間軸が進むにつれ、それぞれのストーリがつながっていき、登場人物達の意外な背景が見えてくる。そして、登場人物の多くは驚きや後悔に打ちのめされる。
他人の意外な面だけでなく、時には自分の意外な一面を知ることもある。しかしいずれの場合も「実は良い人」「悪い人」といった単純な描き方ではなく、「多面性」として描かれている点が秀逸。
「何故これほどの美点を持つ人が、あんな卑劣さを併せ持つのか」等と考えさせられ、そうなるに至った社会の環境、本人の弱さが切なかった。また目の前の人や状況を理解する前に責めてしまい、後で後悔するシーンもつらい。ストーリーが進むにつれ、見る側は多くの後悔を追体験することになるが、人種差別に限らず、日常いかに多くの先入観に基づいて、安易に判断を下しているか自覚させられた。
群像劇だと「かなり話が進むまで意味がわからない」というものもよくあるが、その点は全く問題ない。複数のストーリが平行しているにもかかわらず、この話は脚本が素晴らしいため、ぐっと引き込まれるようなエピソードがタイミング良く散りばめられている。
2
人間的な映画だと思います 2006/3/19
公開前にテレビで紹介していたのを見て、興味が沸いて映画観に行きました。アカデミー賞候補だったのに、マイナー映画館でしかやっていなかったのでそれ程期待していなかったけど、すごく心に残る作品でした。善悪の心と葛藤しながらそれぞれが生きていく姿に、共感出来るところもあってテーマは人種差別ではなくて「人間」という感じでした。高校生の頃憧れたマットディロンも「名優」らしい演技でカッコよかった。
ちょっと地味な映画だからあまり日本では話題になっていないけど、アカデミー賞とって嬉しかったです。DVD買います。久々に特典ディスクを付けてほしいと思う映画です。
3
う~ん...一般的には... 2006/12/10
期待してみてしまったので、なんとも評しがたいものがあります。
マット ディロン/ フィリップ ライアンの警官コンビの演技は印象的で良かったです。
嫌な奴=悪い奴ではなく、いい人=正しい行いでもないという、その微妙なスタンスの描き方はうまいなと思いました。
でも、感動がなく、心も動かされないのが自分でも???
「そうか.」..という程度の思いでした。
その他の..サンドラ ブロックのセレブな奥様の孤独・人種偏見についてのエピソードは
確かに、アメリカに根付くダークサイドであり人々に問うべき問題を描いているとは思うのですが、いまひとつ訴えかけるパワーにかける気がしました。
もしかしたら、見る側にも最初からそれなりの高い意識を要求している作品なのかも
しれないですね。
私はそのレベルに達していないのかも知れません・・・。
4
諸行無常 2007/4/1
この俗世ではある人の善行が別の人の善行を生むという善行のループがあり、
また、逆の悪行のループがある。この二つのループは独立しているのではなく、
ある変化点をもって交わり、複雑に絡み合っている。
この変化点は、時として不条理であり、それに対する人は全くの無力である。
この作品では二つの発砲シーンで見事に「変化点の不条理」を描いている。
悪行のペルシャ商人の発砲は神への感謝となり、善行の若い警官のそれは
救いようのない悲しみをもたらす。
これが俗世であり、この不条理な俗世をどう生きるか。
さすが、アカデミー賞。
この作品を単に人種差別、銃社会といった「アメリカの恥部」を描いた映画としか
見れない人には、それ以上の感想はないであろう。稚拙な感想である。
5
佳作だが都合のいい群像劇 2006/4/28
出来の悪い部分といい部分があるので映画としては評価しづらいが長編初監督してはまあまあ。話としては都合が良過ぎるし、甘ったるいパートにはがっかり。冒頭のリュダクリスの演技も論外。
感情の表現がリュダクリスとは比較にならないほど素晴らしいテレンス・ハワード。達観しているようで、この人の役が実は一番不幸なのではと思わせるドン・チードル。俳優ではこの二人が秀逸。
差別・人種問題の映画としてはほんの入口。(監督はカナダ出身でメジャー作品ではないが)まあ今のハリウッドではこれが限界でしょう。
6
人間は面白い... 2006/6/7
・・
『ロスでは触れ合いは皆無、人々は金属やガラスの後ろに隠れている。みんな触れ合いたいのさ、衝突し合い、何かを実感したいんだ。』 この印象的なオープニングのナレーションが物語を象徴しています。
物語は、冒頭、死体で発見される黒人青年が、いかに死に至ったかを追いながら人種差別によって、偶然かつ必然的なめぐり合わせを体験する人々の姿を俯瞰していきます。ある特定の人たちには悪の顔を見せる人々が、違う人には良い人の顔を見せる。また、今まで正義を貫いてきた人も些細な事で変わってしまう。そんな嘘のない人間像。
偶然のきっかけでぶつかり合って感情を交わし、人生を交差させていく10人以上の登場者。目を背けたくなるような醜さや憎しみを容赦なく描き、皮肉な運命も示されます。そうかと思えば、奇跡のような美しさが迸る瞬間もある。断片的なエピソードを積み重ねながらすべてを収束し、それでいて人間洞察と人生の機微まで描き切る。
エピソードでは、娘の透明マントの話が秀逸でこれには一番泣かされてしまった。その「奇跡」の真相は意外と簡単なものなのだけど、そんな簡単で単純なことで積年の憎しみが消えてしまうということはきっとあるのだと思います。
7
押しつけがましくないあたたかさ 2006/6/13
強盗、殺人、人種差別……事故や犯罪と隣りあわせの都市・ロサンゼルスの日は緊迫している。白人警官が交通違反をトリしますふりをして黒人をいびる。同じ街角で別の黒人青年は差別に苛だち、白人の車を狙って強盗を繰り返す。ささくれだった心は弱者へとはき口を求め、追いつめられた弱者は暴走する。しかしその警官も家に帰れば老父の介護に心を痛めている。黒人青年も盗んだ車の荷台にたくさんの難民たちが乗せられているのを見つけ、ひとつの決断をする。根っからの悪人はいない。が、悪を憎み正義を信じながら思いもかけない事件を引き起こす若き巡査の存在が、完全な善人もいないことを示唆している。行き場のない憤りがうねりとなって事件や事故を呼んでしまうやりきれなさに対して、善を漂わせるエピソードは家庭のなかで、あるいは人と人とがすれちがうほんの少しすき間でひっそりと描かれる。押しつけがましくないあたたかさがにじみ出てくる。
8
余韻が響きます 2006/8/19
ここ数年間の作品の中では、かなりいい作品です。
人種的な問題も絡め、数多くの人間が交差していくドラマです。
見終わった後の余韻が心に響きます。
とてもオススメな作品です。
9
衝突してこその理解 2006/8/1
映画館で観て、DVDも当然購入しました。
観て損は無い傑作です。
「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家として知られるポール・ハギス
の初監督作品ですが、縦横無尽に張り巡らした伏線を一つ残らず回収し
ていて、脚本家としても相変わらず素晴らしい力量を発揮しています。
ただ、あまりにも伏線を張りすぎて、ちょっと無理があるんじゃないの
と思う所があったり、説明過多な部分もありましたが、許せる範囲だと
思います。
複数のエピソードが絡まり合った本作ですが、私の好きなエピソードは
透明なマントの話と、人種差別主義者の警官の話でした。
本作と「ブロークバック・マウンテン」、「トランス・アメリカ」を観
ると2005年がいかに豊作であったかが分かります。
10
重いテーマだが・・・。 2006/8/8
・・
見た人がさまざまな感想を持つ作品だと思います。登場人物が多いので、分かりにくかったという方も多いはず。相関図なんかがあると分かりやすいと思います。
この手の作品は『トラフィック』や『21グラム』などがありますが、まずは脚本家に拍手。豪華キャストの俳優陣も凄いです。個人的には、テレンス・ハワードとドン・チードルの演技が印象に残っています。驚いたのは、ブレンダン・フレイザーの出演。『ジャングル・ジョージ』などのコメディの印象が強いので。
人と人の衝突から生まれる愛。夫婦の間であったり、使用人との間に生まれるもの。形はいろいろありますが、美しいものだと思いました。しかし、それとは逆のパターンもあるわけで、どちらかと言えば、こちらのパターンの方が日常では多いはず。なので、映画の中で描かれた衝突から生まれた愛は、特に美しく思えた。人間関係というものは、難しいものだということをあらためて知らされた感じだ。
DVDの仕様は、少し特典が少ない気もする。ミュージッククリップなどをつけるくらいなら俳優達のインタビューを収録する等してもらった方がいいのではないでしょうか。作品自体は素晴らしい作品なので、見終わった後、作品について色々と考えてみるのがいいと思います。