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宮崎駿の私小説。 2005/8/8
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宮崎駿氏の関わった作品はほぼすべて見ていますが、ストーリー云々は別にして、本作が最も完成度の高い映画だと思います。一見してわかるように、豚は宮崎監督の分身でありメタファーです。本作は上質のエンターテイナメントですが、同時に宮崎氏の私小説でもあるという巧妙な二重構造になっていて、この点に着目するとまた別の観点で楽しむことができると思います。
この作品の裏テーマは、紅=赤=共産主義に対する懐疑心です。宮崎氏が東映動画時代に労働組合活動をしていたことは有名ですし、共産主義に対してある種のロマンを持っていたように思います。映画「ナウシカ」の風の谷を出すまでもなく、素朴な共産社会に対する憧憬を表す描写は氏のさまざまな作品に登場します。しかしソ連崩壊や天安門事件など現実社会ではうまく機能しない共産主義を目の当たりにし、自らの持つロマンとの乖離に苦しむことになります。この作品は、宮崎氏の中に存在するそういった乖離(ギャップ)を埋めるために作り出されたといっても過言ではありません。
パリコミューンに参加した戦士の生き残りがつくった歌には、宮崎氏が憧れたのと同じ共産主義に対するロマンがこめられています。それをあの加藤登紀子に歌わせるのです。ご存知の方も多いでしょうが、彼女の夫=藤本敏夫は革命家を標榜していました。この映画は、そんな念の入れようで設計されているのです。
かつて共産主義者は豚と呼ばれていました。宮崎氏はそのことを当然知っているはずです。「飛べない豚はただの豚」この台詞にはロマンを失った宮崎氏の苦悩が凝縮されています。しかしこの映画は絶望を描いているのではありません。飛べない豚が新たなロマンを求める姿を描いています。ロマンは実現不能な主義思想ではなく人間の中にこそ存在していた、ということが描かれます。その対象に宮崎氏の趣味(ちょっとロリコン)が現れているわけですが、それすらアイロニーを込めて描いてしまいましたね。「おいおい自分を全肯定しちゃったよ~こりゃまいったね!」と苦笑せずにはいられない映画です。
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飛行艇 2004/3/27
我が家ではほとんど誰も見ないビデオ。一人でこっそり見て納得。
なるほど、こりゃ子供らは見ないはずだ。
芳醇で豊かな人生を描いたゆったりとした大人のファンタジーでした。
アニメなのにどうしてアドリア海がこんなに美しいのだろう。
ミラノの町工場で女達が総出で飛行艇を作り上げるシーンが特に好きです。 ジーナさんの声、そして最後の感動的な歌の加藤登紀子にも拍手。
うちの子供達も10年、いや30年たったらこの映画をもう一度見て欲しいな。
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参考になるかな 2003/11/26
参考になるかな, 2003/11/26 お客様
・・・・・の作品で紅の豚が一番好きと言う人はほぼいないし
あんましすきじゃないよとかいう人のほうが多い。
だけど僕は紅の豚が一番・・だ。
なんていうかなぁ・・・・・し素敵まるだしです。
んで終わり方も・・だな。
とっても美しい作品だと思います。
たいしたこと書いてないけど
僕みたいな評価は少数なのかなぁ。
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自由で明るく美しい 2002/9/28
飛んでみたい美しい大空・虚無観を超えたところに・るダンディズム・働く女達の笑い声。刻まれた時間を抱き・楽しみながら生きる荒々しい空賊達・自分の尽くせる事を尽くしているだけで他には何も無いのだけど、飯を食べ、酒を飲み、美しい女に恋し、一匹だけで飛ぶ豚・ ―めちゃくちゃな状況でも・わはは・と笑って生きていく覚悟やエネルギーのようなものが伝わってくる・明るくて美しい映画だと感じました。水しぶきや風や飛行艇のダイナミックな動きや鮮やかな色の連続がとてもきれいな映像と・・さくらんぼの実る季節・・時には昔の話を・・帰らざる日々・のような情熱、熱い想い・懐かしさを感じさせる音楽の組み合わせが絶妙です。
宮崎駿監督の・飛行機や空を飛ぶ事に人の感性や情熱がそのまま映し出された時代への愛着のようなものがうかがい知れるのもとても楽しいです。・女の手を借り戦闘艇を作る罪深き私達をお許し下さい・と祈りをささげたピッコロ親父が・すぐその後に・さあっ・もりもり食べてびしばし働こう!!・と言って嬉しそうに笑う場面など・職人が仕事をする事の感動が伝わってくるような場面が幾つかあって胸がわくわくしました・
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格好良さ。 2004/2/27
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まさに格好良さを代弁してくれる、宮崎駿異色映画です。しかしながら監督が本当に作りたかった映画を、自ら楽しみながら作り上げたのが本作であると思います。一般的に評価が低かろうが、面白いものは面白い。子供達が仮に不満を漏らしたとしても、大人になれば必ず理解される。本当に大人の為の作品であると思います。また男なら憧れすら抱くはずです。森山周一郎氏の声も非常に渋く、格好良いと心底思いました。それに加藤登紀子さんも非常に素晴らしく、エンディングには感動も覚えるほどです。一度観て敬遠された方には、是非とももう一度じっくりと観て貰いたい。そう思える本当に秀逸な作品です。
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最高 2002/2/10
彼の作品の中で一番好きです。なぜ豚になったかはいまでもわかりませんが、主人公の頑ななまでの飛行艇に対する思いや「飛ばねー豚はただの豚だ」という言葉には納得させられたというか、現代人には忘れかけているなにかを感じさせられました。ただのほほんと生きているだけじゃ、つまんねーぞって言われてる感じがしました。一度でいいので観てください。
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「個人的な映画」の意味 2002/8/25
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これを知らなくては作品を楽しめないとかいうつもりは毛頭ないのですが、他の方のレビューの中に欠けている部分があると思うのでそのことについて、ひとこと付け足させて下さい。
宮崎駿監督がこの映画完成後に「個人的な映画を作ってしまった」といっていたことの意味をつい最近まで僕は誤解していたかもしれません。飛行艇好きの趣味を爆発させて道楽で作ってしまったという意味だと思ってました(おそらく今もそういう意味にとる人は多いと思います)。もちろん、そういう意味も大いにあるのでしょうが、インタビューなどを読んでみると、それだけでは全然ないらしいことがわかります。ジーナが歌う"さくらんぼの実る頃"という歌の背景、ポルコの飛行艇の色が赤いこと、監督本人を思わせる年が主人公のこと、そして「団塊世代あたりの大人の人たちに見てほしい」と監督がいっていたことなどが手がかりです。 この裏テーマも知ることによって、この映画の違った見方が発見でき、さらに楽しめると思います。
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誇り高さとロマンティシズム溢れる、宮崎駿の男心をくすぐる異色の傑作。 2006/9/18
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「紅の豚」、良いタイトルである。昔、「紅の翼」、「紅の流れ星」といった男心をくすぐる粋な映画たちから取ったと思える題名、かって、青春期にそれらの作品を観て育ったのであろう、宮崎駿ら製作者たちのこだわりが感じられる。“とべない豚は、ただのブタさ”、“カッコイイとはこういうことさ”、上手いコピーである。ハード・ボイルドな誇り高い男の美学が流れる今作を、見事に言い表している。この映画には、従来の宮崎駿作品に一貫して流れる“自然との共生”のテーマが希薄であるが、その分、大空を駆け巡る男たちのロマンティシズムと、国家や組織に屈しない愚直なまでの自己のポリシーを、ユーモアと初々しい恋愛感情を交えながら、リリカルに描いている。ポルコ・ロッソを見つめる2人の女性たちが見せる、好対照ながらの行動と言動の美しさ。クライマックスのポルコとカーチスの、機関銃を捨てての闘いは、一連の宮崎作品のもう一つの柱である殺戮の虚しさ、無意味さを説いた“反戦平和”の意図が読み取れる。余韻あるラストも見事に決まり、宮崎映画屈指の名作と言っておきたい。
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空気と風、背景の作り込み 2007/5/29
この紅の豚は言わずもがな、飛行機などの機械モノ好きな宮崎駿監督らしい作品と言えるでしょう。
自分は脚本や人物構成にはめっぽう疎いので映像の面から語らせてもらいます。
また、最近は優れたCGで迫力ある飛行シーンが再現されていますが、それに勝るとも劣らない、むしろCGよりも遥かに優れた映像美です。
まず、よく背景を見ればわかるのですが、風景はもちろん建造物、乗り物全てが信じられない程細かいところまで作り込まれています。
こういった作り込みが宮崎駿映画が世界でも評価される所以でしょう
そしてこの紅の豚で特筆すべきは風と空気の表現です。
遠くから来て去ってゆくV12エンジンの音、風切り音、パイロット達の光による通信と声の会話の切り替え、当たり前といえば当たり前ですが、これによって空を飛ぶ事によって発生する距離感や音の感覚がグッと向上します。
映像にも驚かされます。圧がかかるとキチンとしなる翼、急旋回で引くベーパー。
ちゃんと流れて行くエンジンの排気やマシンガンの弾。
撃たれて散らばり流れていく機体の破片。
エンジンと空気による振動でガタガタ揺れる木製の機体。
ただ動くだけでなくキチンと空気を掴んで飛んでいるのが見えてきます。
あと細かい工夫ですが、飛行艇に関わる登場人物がみんな必ず体のどこかにヒラヒラしたものを身に付けています。
当然それがはためけば誰にでもわかる風の表現になります
小さな作り込みによって得られるモノはこれほど大きいのです。
最近の「飛行機が飛んでいる」のが伝わればそれでいい、というようなCG映画にも見習って欲しい一本です
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宮崎監督の自由な空 2001/12/9
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名作を次々生み出す宮崎監督。ユーザーサービスも満点で過酷なスケジュールに忙殺される日々だが、監督が自分の好きなテーマで、好きなように描いた作品が「紅の豚」だと思う。内容はちょっと我が儘。いつまでも子供っぽい大人の男たち、自由に飛び回る空。監督の飛行機好きならでの、カットがものすごい!!飛び物ではNo1の力作です。おじさんたちの力一杯の冒険。ユーザーうけするかどうかは不明だが、黒沢監督ように、宮崎監督にはもっともっと好き勝手に作品を作ってもらいたいと願います。いつもながらに音楽、映像が素晴らしい。若年から老年までが楽しめる作品です。