1
「哀」の感情を描ききった永遠の名作 2003/9/25
「幸せは皆ひと色だけど、不幸せは一つ一つ、違った色をしているそうです。私たちが芸者になった理由も、一人一人、違います」
このドラマの本質は、第三話の冒頭で語られる、このモノローグに凝縮されている。 山陰の田舎にある寂れた温泉街。そこで一人置屋を営む夢千代の元に、ある日川崎から一人の刑事がやってくる。かつての同僚の生駒が、人を殺したというのだ。
生駒がきっと戻ってくると確信し、張り込みを続ける刑事の出現により、温泉街に生きる人々の悲しい秘密がゆっくりと呼び覚まされていく。 物語を引っ張るのは「彼女は本当に人を殺したのか」というサスペンスだが、それはあくまで作品を動かす為の一要素に過ぎない。 田舎町を池の水面とするならば、かつての同僚を追う刑事は、突!如池に投げ込まれた小石である。小石によってゆっくりと水面に広がっていく一瞬の揺らぎを、本作は繊細な優しさをもって、しっとりと描き出す。それはまさに「ドラマ・人間模様」の名を冠するに相応しい。 現実の世界に「悪人」がいないのと同じように、本作にもいわゆる「悪人」は登場しない。そこにあるのは、痛みを胸に秘めつつ、お互いを道連れにしてひっそりと支え合っていく、市井の人々の姿である。脚本を手がけた早坂暁は、必死に些細な幸せを掴もうとした挙げ句、奈落の底へ転がり落ちてしまった善人達の姿を、慈しみを持って描き出している。 本作はこの国に息づく人と人との目に見えない絆を、鋭い洞察力を持って描いた力作であり、放送史上に残る不世出の傑作と言えよう。! 作品のスコアを手がけた武満徹の手腕も見事。しっとりとした旋律が、作品の情緒を醸し出している。
2
これが「ドラマ」… 2003/3/24
見終わって,思わず「う~ん」とうなってしまいます。決して明るい話ではありませんが,登場する人たちみんながそれぞれの過去を背負って生きている…。シリーズ名のとおり「ドラマ 人間模様」なのです。
とりわけ,連れだって町を出て行くケーシー高峯と楠トシエの姿が涙ものです。これほど深みのあるドラマを,わたしは知りません。
3
表日本の人間の敗北宣言 2005/7/24
・・
夢千代演じるは、もちろんぼくたちのアイドル吉永小百合。彼女は「キューポラのある町」以後、ぼくたち世代にとって「手の届かない女優さま」になってしまった。自分の生き方を守りつづけた。頑固な真面目すぎる優等生。
胎内被爆。白血病。残り生存時間3年。温泉町の芸者の置屋を母の死後継いでいる。彼女もあふれる時間はあった。幼ななじみの恋人と東京へ。妊娠したが堕胎。日本の女性の模範。
舞台は山陰のあるひなびた温泉町。芸者がすごい。秋吉久美子。樹木希林。楠トシエ。アア、複雑な過去を背負って生きている。
にせ医者ケーシ高峰。町の取り締まりは警察官の中条静男。温泉町を仕切っている親分は長門勇。よくぞあの時代の名優たちをそろえたものだ。さすがNHK。
『裏日本からみた表日本への怒り』。
テーマははっきりしている。あの当時の日本のありとあらゆる社会問題を全部ほうり込んだ。そんな原作は早坂暁しか書けない。
殺人犯を追ってきた林隆三。とうとう刑事を廃業。
当分、人生いかにいきるかを考えることにした。表日本の人間の敗北宣言である。
4
表日本の人間の敗北宣言 2005/7/18
・・
夢千代演じるは、もちろんぼくたちのアイドル吉永小百合。彼女は「キューポラのある町」以後、ぼくたち世代にとって「手の届かない女優さま」になってしまった。自分の生き方を守りつづけた。頑固な真面目すぎる優等生。
胎内被爆。白血病。残り生存時間3年。温泉町の芸者の置屋を母の死後継いでいる。彼女もあふれる時間はあった。幼なじみの恋人と東京へ。妊娠したが堕胎。日本の女性の模範。
舞台は山陰のあるひなびた温泉町。芸者がすごい。秋吉久美子。樹木希林。楠トシエ。アア、複雑な過去を背負って生きている。
にせ医者ケーシ高峰。町の取り締まりは警察官の中条静男。温泉町を仕切っている親分は長門勇。よくぞあの時代の名優たちをそろえたものだ。さすがNHK。
『裏日本からみた表日本への怒り』。
テーマははっきりしている。あの当時の日本のありとあらゆる社会問題を全部ほうり込んだ。そんな原作は早坂暁しか書けない。
殺人犯を追ってきた林隆三。とうとう刑事を廃業。
当分、人生いかにいきるかを考えることにした。表日本の人間の敗北宣言である。