喧嘩、盗み、歌、タップ・ダンス、暴力。山高帽とエドワード7世風のファッションに身を包んだ、反逆児アレックス(マルコム・マクドウェル)には、独特な楽しみ方がある。それは他人の悲劇を楽しむ方法である。アンソニー・バージェスの小説を元に、異常なほど残忍なアレックスから洗脳され模範市民のアレックスへ、そして再び残忍な性格に戻っていく彼を、スタンリー・キューブリックが近未来バージョンの映画に仕上げた。忘れられないイメージ、飛び上がらせる旋律、アレックスとその仲間の魅惑的な言葉の数々。キューブリックは世にもショッキングな物語を映像化した。当時、議論の的になったこの作品は、ニューヨーク映画批評家協会賞の最優秀作品賞と監督賞を受賞し、アカデミーでは作品賞を含む4部門にノミネートされた。現在でも『時計じかけのオレンジ』のその芸術的な衝撃と誘惑は観る人々を圧倒する。
麻薬、暴力、盗み、暴行など、悪の限りを尽くす近未来の不良グループ。リーダー格のアレックスは、ある盗みの最中に仲間の裏切りで捕まった。その服役中に、悪人を善人に変える奇妙な洗脳実験を受け、暴力を嫌悪する無抵抗な人間となって娑婆に戻される。しかし、そんな彼を待っていたのは、かつて自分が暴力の対象にしていた者たちからのすさまじい報復だった。
アナーキーな若者の過剰なまでの暴力嗜好を、芸術的かつポップなセンスで大胆に映像化した。一度観たらとりつかれるほどの妖しい魔力に満ちた、永遠のバイブル作品だ。(山内拓哉)
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純粋な暴力を通して人間性回復を謳い上げた作 2003/3/24
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近未来の世界、何不自由ない家庭に育った少年アレックスは仲間を集めて、暴力、強盗、強姦を繰り返す。全編、暴力、レイプ、性描写に満ち溢れた作品だ。
老作家の家に押し入り、「雨に唄えば」を口ずさみ軽やかに踊りながら、老作家を袋叩きにする。彼の目の前で若妻をいたぶり強姦する。そのような行為をするアレックスは歌の「I'm happy」を繰り返して本当に楽しそうに描かれる。貧困や憎しみからではなく、純粋に暴力そのものを楽しむ、それがアレックスだ。 そんな彼も殺人を犯し仲間に裏切られて刑務所に入れられる。そこで模範囚になった彼は自ら志願して悪が行えないようになる洗脳教育を受ける。釈放されるとかっての仲間や暴行を加えた相手から袋叩きにあう。あんなに好きだったベートーベンも、洗脳教育のBGMで使われていた事から、聴く度に拷問のようになってしまう。 さて「時計仕掛けのオレンジ」(A CLOCKWORK ORANGE)の意味は何だろう。美しく、精巧・繊細に作られてはいるが、食べることは出来ない。何の役にも立たないもの。フレッシュ、新鮮さ、生き生きとした、太陽の恵みの果実、そういったものが皆無なもの。人間の手で人の心を変えようとしてもそれはできない。それは人間の本能から来る悦び、音楽や性を楽しむ行為を奪ってしまう。善か悪かは、あくまでその人間自身が選択するべきものであって強制的に強いても本質的な解決にならないということだろうか。 最後に、いないとは思うが、子供や、恋人と一緒に観るような作品ではないので、ご注意あれ。
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「レイプとウルトラ暴力とベートーベンが俺の生きがい」 2005/6/12
全てのイメージと音楽が印象となって目に飛び込んできます。
これだけ考えなくても「感じる」事のできる映画は希有でしょう。
解釈なんて殆ど要らない映画なんですけど、わかりにくい部分や
勘違いしやすい部分も持っていて、それで不当な評価を得たり、
犯罪を助長するものと思われてしまうのは残念なことです。
主人公アレックスには暴力を制止する「罪悪感」と言う足枷が
ついてないですよね。楽しそうです。何物の束縛も受けず、
本能的に暴力を楽しむ彼は暴力の権化。
まぁ、そんな無体な人間が法社会で通用する筈もなく、
暴力の後に仲間に裏切られ、しかも猫婆さんが死んじゃってて、
殺人犯。(でも14年って短くないか?)
刑を受けても、やはりアレックスはアレックス。
不敵に笑って自信に溢れ、好奇心とある種の無邪気さを備えた
子供のようなアレックスは何も変わりません
(彼自身は、最後までずっと同じ彼だった。そう思います)
政府はここで犯罪者を無くす愚民政策のマウスとして
アレックスを選び、彼は自由意思の表現を、
暴力、レイプ、そしてベートーベンの音楽を奪われてしまいます。
犯罪を犯す悪人を更正させるにはどうすれば良いか。
「犯罪行為を試みる時に生理的に嫌悪を覚えさせるように
教育すればいいのだ」まさにマウスがやってる条件付けの実験と
同じですけど、これは怖いですよ。
犯罪者には人権はない、と考える人もいるかも知れませんけど、
政府がほかの国相手に、これを試みる。
国家が国民に同じ事を試みる、
そういう可能性だって十分ある訳ですから。
(これは手塚治虫の「時計じかけのりんご」で描かれてますけども) アレックスはその後、「暴力ふるわないジャイアンなんて
怖くないや」って感じで以前の仲間や被害者から
ことごとく仕返しされてますど、復讐と言う大義名分があれば、
簡単にその暴力性への制御を解除し、暴力行為という本能に浸る
ことが出来る。つまり、みんな心にアレックスって言う
存在を持ってる(国家も含めて)って事なんでしょうねぇ。
悪い事すりゃ自分が痛い目に遭う、って感じにも取れますけど。
しかし、アレックスは結局助かり、政府と仲良くしたり(!)。
愚民政策の治療を受け、夢の中で彼が生きる歓び、
暴力とレイプとベートーベンを取り戻します。
このラストが不当な評価を得てる原因だと思いますけど、
要するに、アレックスってのは人間の一面の象徴なんですよね。
結局の所人間は暴力やレイプの衝動を本能的に備えていて
人間である限りはそれを失う事はないんだよって、
そういうメッセージなんだと思います。
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時代がまだ追いついていないのかもしれない 2005/12/30
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「最近の青少年の犯罪を見ていると この作品がいかに予見的であったかが分かる」というような 分別臭いことは言い易いかもしれない。「おやじ狩り」「スーフリ」なんて すべてこの映画の掌に乗っているだけではないか。
但しそれは原作の力であってキューブリックの手柄ではない。原作が予見的であった事が 冒頭のコメントに繋がる。それでは キューブリックの手柄はどこにあるのか。結論を言うと キューブリック以外にこんな大傑作には作れなかったというのが小生の独断である。
音楽の使い方、画面構成、人物の動き。どれを取っても 極めてポップであり この近未来SFを構成するにおいて 予見的である。こんなに薄汚れた「近未来」を描き出した映画は他にあったろうか?敢えて言って「ブレードランナー」くらいかと思う。その「近未来」の「風景」は 今なお新鮮であり かつ 後10年くらいしたら 本当に実現しそうな感じすら与えられる。そう まだ 時代はこの映画に、というよりは 1970年代のキューブリックに 追いついていないのかもしれない。
勿論追いついてほしくない。正しく夢魔的な作品。
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ついに出た 2001/7/3
ついに出た, 2001/7/3 お客様
これはいろいろな意味で「外せない」作品で、キューブリック監督の圧倒的に尖がった感覚に刺されっぱなしになります。ベートーベンを玩具のようなアレンジで聴かせたりする音楽、随所に出てくる凝りまくった室内装飾、ワルいときの主人公達が使う独特の言葉など、30年も前に作られたものとは思えない!
暴力を楽しみに生きる主人公アレックスのアナーキーさと、その彼が更正施設で「最新」治療を受け、「生まれ変わって」出てきた所を待ち受ける現実は、ある意味寓話と言えます。でも暴力にまみれた主人公より、更正施設で治療をほどこす側の方に狂気を感じてしまうのは、監督の皮肉でしょうか。とにかく見るべき、作品です。
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これはクソでしょ 2005/7/2
これはクソでしょ, 2005/7/2 お客様
こんだけえげつない暴力シーンを延々見せられてセンスもへったくれもないでしょ。人として。見ていて胸くそ悪くなるだけでした。まぁシュールなもんを評価することでしか自己満足出来ない自称映画通にはとってもスバラシイ映画らしいけどね。
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脱帽。 2005/9/24
僕の中でベスト1。
斬新な映像表現、役者の演技、全てにおいて圧倒された。
何が正しいのか?何が間違っているのか?
結局何がいいのか。何が悪いのか。そんなことは誰にも分からない。
己の理性を全面に押し出す犯罪者とそれを抑圧し威厳を保とうとする国家。
まさに「皮肉」。現代社会への警鐘。何が善?何が悪?とにかく必見。
これほど考えさせられた映画は他に無い。キューブリック万歳。
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とにかく、観るべし! 2005/10/2
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キューブリックの作品がデジタルリマスターされると、本当に美しい。
建築物やインテリア、ファッションの一つ一つが洗練されていて、芸術的。
そして、近未来でアナーキックな描写は斬新過ぎてポカンと口が半開きになってしまうくらい。
圧倒されまくりな映像とストーリーに、飽きることなく魅入ってしまう魔力がこの映画にはある。
キューブリック作品を観た事が無い方は是非!体験してみて下さい。
必ず、身体の感覚が研ぎ澄まされますよ!
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傑作。 2005/9/24
どうしようもない犯罪者と、それを抑制しようとする政府。
矯正したはいいが、自己判断能力の欠如した「生き物」となってしまう。
人権蹂躙だと世論やマスコミがのしかかる。挙げ句の果てに再矯正する狂気。
何がいいのか、何が悪いのか。結局は分からない。
実際に起こりそうで凄く怖かった。とにかく思考回路を刺激する映画。
斬新な演出も「上手」を通り越して「芸術」だった。
監督のキューブリックと映画の関係者に敬意を表す。
狂気、暴力、SEX。重いカテゴリだが、不思議と美しかった。
クラシック音楽と狂気の対比。それが過不足無く化学反応を起こしている。
役者の演技も秀逸。特に主演のM・マクドウェル。
ラストシーンの表情は一生忘れられない。この先何回見ても、絶対飽きない自信がある。
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一度観たらハマること間違いなし! 2001/7/24
一度観たらハマること間違いなし!, 2001/7/24 お客様
強烈なバイオレンスやセックスを描いているにも関わらず、それ以上に美しい映像や近未来のポップなセンスに魅了されてしまう不思議な作品。また、独特のスラングとテーマ曲のベートーベンの第九が印象的。今から30年も前に作られた作品なのに、古臭さを感じさせない奥の深い内容と映像美にキューブリック監督のすごさを実感させられる。
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満点か最低点 2004/7/17
この映画ほど過激すぎる性描写や暴力描写を芸術的領域まで
押し上げられる映画作品は今後出ないのではないだろうか。
何故なら表現に対する法的な規制は近年厳しさを増すばかりだからだ。
ただ暴力を売る映画ではなく、暴力について深く考えさせられる。
原作を変更している箇所はあるが青少年の非行による暴力、復讐による暴力、国家による暴力などそれらを重ね合わせ、その滑稽さを見事に描いている。
色んな怖さをこの映画には感じるが何よりも自分が恐怖を感じるのは
この映画が1971年製作だということ。
「新感覚の~」というキャッチコピーは新作映画でよく用いられるが、 この映画の前ではあまりにも無力な言葉に見えてならない。
好き嫌いはハッキリ分かれて当然の映画だが、
「満点か最低点」どちらかハッキリつけてもらわないと不思議と自分としては納得できないという数少ない映画。