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ロバート・アルトマンを追悼し、氏の最高傑作に改めて触れてみたい。 2006/12/30
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ロバート・アルトマンが亡くなった、、、。6年前、スタンリー・キューブリックの突然の訃報を聞いた時の衝撃ほどではないが、熱烈なアメリカ映画ファンとして、70年代以降のアルトマン映画に接してきた者として、やはり悲しい。アンチ・ハリウッドの旗手と呼ばれ、非商業主義的な独自の感性と辛辣な人間観察で数多くの作品を残し、アメリカ本国よりもヨーロッパで深く尊敬を受けてきた名監督だが、そのフィルモグラフィーの中で、最も人々から愛されたのが今作である。朝鮮戦争時の前線の野戦病院を舞台に繰りひろげられるそのブラックで強烈なユーモアに内包される戦争や軍隊の持つ狂気と愚かさを照射させる手法に、大いに笑わされながらも熱い共感を覚えてしまう。アルトマン映画の専売特許と言うべき群集劇と、マシンガンの如き多重会話が初めて用いられた作品でもある。正に、映画史に燦然と残る傑作だが、実は、アルトマンにオファーが来るまでに10人以上の監督に断られていた企画だったと言う。その中には、キューブリック、コッポラ、マイク・ニコルズ、ロバート・アルドリッチと言った錚々たる顔ぶれが並んでいた。アルトマン自身も、最初は乗り気ではなかったと言うのが皮肉だ。享年81才。「コンバット」や「ヒッチコック劇場」と言った数々のTVシリーズを手掛けた後、映画界入りした遅咲きの経歴で、今作で初めて世間の注目を集めたのが44才、その後の輝かしいキャリアと発表した作品数の多さに、中高年期での溢れるヴァイタリティと才気の賜物と感服する。今年のアカデミー賞の名誉賞を受賞した際、「名誉賞とは、映画製作の引退時に貰うものだ」、「私は10年前に、30才の若い女性から心臓の移植を受けたので、まだ40年は生きられる」とジョーク交じりにスピーチしていたのが、今となっては感慨深い。合掌。
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ブラックな笑いだけでなく、選曲もこの映画の魅力 2007/3/31
この作品は、従軍医の話であるが、登場人物の行動はほとんどがいいかげん。通常の社会ではロバート・デュバル演じる医療の腕が悪いフランクや婦長のホットリップス(熱い唇)の考え方のほうがまともなのだろうが、それが戦場では逆に精神的ストレスを高める異常な存在。彼ら以外がまともに見えてくるところが戦争の異常さであり、普通に振舞っていると精神的ストレスが増幅されるところが戦場だということが観終わった後に痛切に感じる。全編下ネタ満載のブラックユーモアと毒々しい手術の場面で構成されこのギャップが何ともいえない。ベトナム戦争終盤の70年にこんな逆プロパガンダ的な作品が良く取れたと思う。現に特典映像に製作者側の苦労が語られている。この作品を生み出すのに、「トラ・トラ・トラ」や「パットン大戦車軍団」をメインに撮り、その裏でこの作品を取っていたことが語られている。
この作品の魅力はそのベトナム戦争を笑いで痛烈に批判する(映画は朝鮮戦争が舞台であるが)とこであるが、その他には挿入されている歌に魅力がある。オープニングのジョニー・マンデルの「スーサイド・イズ・ペインレス」は衝撃的で、「自殺は苦痛でない、気分を変えるもの、選ぶか選ばないかは私の勝手」という歌詞と切ないメロディーは心に残った(TVシリーズもこの曲を使用していた)。また、主人公の一人エリオット・グールドが登場するシーンとドナルド・サザーランドの任を解かれるラストで流れる暁テル子の「東京シューシャインボーイ」は戦後間もない復興の日本と戦場と化した朝鮮半島のギャップを強烈に現す曲で初めて観たときから印象に残っていた(この曲だけが2度流れる)。「さあっさ皆さん東京名物~」という歌詞は逆境に置かれても希望をもって明るく生きるという印象があり、登場人物たちとかぶり、もし歌詞の内容をわかって選曲したのであればアルトマン監督はやはり素晴らしいと思った。
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ドナルド・サザーランド! 2007/11/25
朝鮮戦争の前線における、めちゃくちゃにぶっ壊れた軍医たちのお話。このウッドストックの翌年に公開された映画は、全編通して狂乱怒濤のコメディなんだけど、終わってみれば反戦・反体制映画になっているというところが面白い。
脚本を、アカ狩りでハリウッドを追われた「ハリウッド・テン」の一人、リング・ラードナー・Jrに依頼した時点からして、この映画が並のものにはなりそうにないわけだけど、監督と俳優は、この脚本すら無視して全編アドリブに次ぐアドリブで作ってしまった。
「おれの台詞は一行も残っていない」と、ラードナーは本気で激怒したらしいけど、皮肉なことに彼はこの作品で、アカデミー脚本賞を受賞している。
ロバート・アルトマン監督はTVシリーズ「コンバット」の演出をしていた人だけど、あの作品も、派手なアクションとサンダース軍曹のかっこよさを、ちょっと遠目に引いてみれば、やはり反戦作品だったことがわかる仕組みになっている。そしてこの『マッシュ』は、朝鮮戦争を舞台にしながら、実はベトナム戦争を描いていた。
当時、20世紀フォックスは『トラ・トラ・トラ』と『パットン大戦車軍団』の二つの戦争大作の製作にかかっており、本来、許されないはずの、このはちゃめちゃ映画に目が届かなかったらしい。編集ラッシュを観て、幹部は腰を抜かし「史上最悪の映画になる」と言った由。そこから強烈な干渉が始まるのだが、なんとか実現した試写で、観客が大ウケだったことから公開にこぎつけた。
主演のドナルド・サザーランドは、当時、極貧にあえいでおり、これが出世作になった。350万ドルという低予算だったため、この作品で実に10人の俳優が、相当重要な役どころでデビューしている。
以上、蘊蓄部分は特典映像より。絶対におすすめの映画であります。
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不謹慎だけど笑える作品 2007/11/3
戦争をテーマにした映画は多いけど、こんな風に(そういったら失礼か?
いや、むしろ誉め言葉かも。)表現した映画は中々ない。
戦争を風刺するなんて不謹慎だけど、笑えるからしょうがないね。
のんびりニヒルな曲が流れ、痛快でアイロニーな言動満載。
そしてなぜか嫌に超現実的な手術シーンもある。エンドロール
もこってるし、隅の隅までロバート・アルトマンの腕が冴える
傑作だ。
あとやはりドナルド・サザーランドやエリオット・グールドなど
は、まだ駆け出しの時期とは思えない存在感。二人の名俳優の名を
世に知らしめた意味でも記念碑的作品だ。
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こういう時代だからこそ見たくなる名画 2007/9/16
感想を箇条書きでまとめてみました
1.時代背景を考えると1970年に上映されたことがすごい!まず、日本の映画界では考えられない。
2.ブラックジョークが強烈(「最後の晩餐」をこの手の映画に取り入れるなんて、スゴすぎる)。
3.付属のメイキングは必見。
4.この映画が完成して一番批判的であった本作品の脚本家リング・ラードナーのみがアカデミー賞を取ったのは本当にこの映画の主題である「ブラックジョーク」としか言いようがない(ノミネートは5部門)。
5.ドナルド・サザーランドの魅力満載(シニカルな映画には欠かせない名優)。
6.このような名画を1,000円未満で手に入れることができるということは、本当にすばらしいこと。
7.個人的な感想として「フットボールのシーンが長すぎる」「最後のオチがない(もう「ひとひねり」欲しかった)」ので、星4つ。