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ドキュメンタリーの力強さ しかしザウパー監督自身の「内なるダーウィンの悪夢」まで映し出していました 2007/4/25
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話題のドキュメンタリーです。ヴィクトリア湖に秘密放流されて繁殖したナイルパーチを主題としていますが、映画はそういう環境問題ではなく、タンザニアの抱える社会問題をクローズアップしています。そしてそれがもう見るも無惨な有様で、「これでもか」と言うばかりにむごい現状を映像の力強さで見せつけます。ナイルパーチの加工によって潤うタンザニアの人々。外国人を相手にする娼婦達も魚の廃棄場で蛆まみれになって下働きをしている女性もみんな言います、「前の暮らしよりずっと良い」と。しかしその実彼女たちはかたやサディスティックな客に切り刻まれて殺され、かたや魚の残骸が発するアンモニアガスのせいで片目を無くします。圧倒的な絶望。パーチが湖の在来種を食い尽くしてしまえば全て終わってしまいます。それは武器を売りつけて搾るだけ搾り取る欧州「死の商人」の醜さと軌を一にしています。
この世の地獄です。我々が出来ることは何なのでしょうか。「この白身魚はアフリカの自然を崩壊させている原因になっています」と食べるのを拒否してもそれは全くタンザニアの現状にペイしません。同じくアフリカの窮状を訴えた『ホテル・ルワンダ』でも、ツチ族虐殺の映像を手に入れたのにも関わらず「どうせ白人は食事しながら『ひどいね』と言うだけさ」と言われてしまう場面がありました。次にカメラが向かう矛先は欧州であり、我々であり、下々のものを踏み台にして利をむさぼる一部の人間なのです。そして監督のザウパー氏が「やって来る飛行機には何が積まれているのか」と執拗に取材しますが、聞いても答えようのない対象に聞くその傲慢さは武器を売りつける欧州人の姿勢そのものに他ならないのだと自覚できた時、初めて彼もカメラが向かうべき先を発見できるでしょう。残念ながら彼はまだそこには気付いていないようです。この衝撃作に最大の欠点があるとすればまさにそこなのです。
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この社会の成り立ちをもっと考えるべきだ、と訴えている 2007/8/17
一匹の肉食魚(ナイルパーチ)から始まった、
悪夢の連鎖。
複雑なこの仕組みを、
無駄な情報を削ぎ落とした映像によって、
観る者に深く考えさせる良質のドキュメンタリー
ヴィクトリア湖の生態破壊
売春とエイズの蔓延
ストリートチルドレン
性的暴力
戦争
これらは
ほぼ先進国が引き起こしていると言っても過言ではなく、
さらに複雑なことに、
アフリカの一部の権力者にとっても、
今の連鎖が都合のよい図式だということを
よく知らしめる作品となっている。
もちろん
ナイルパーチによってもたらされた幸福もあるだろうが、
それは氷山の一角であり、
海面下では声も出せない不幸が沈んでいる。
その不幸は次なる世代へ直に伝達される。
あるアフリカの女性が
「よくわからないけど、
ここで生きていくしかないの」
と言っていたのが印象的
恵まれた私たちにできることは、
「まず誰によって恵まれているのか考えること」
かも知れない。
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言葉を失う 2007/7/8
これほどの貧困、凄惨きわまりない生活がこの世に存在するとは。
ここにも富めるものはひたすら搾取を続け、貧しいものはひたすら搾取され続けるという構図がある。地獄という形容も生ぬるいといえるこのタンザニアの状況を目の当たりにすると、私のような一庶民ができることなど皆無であると思わざるを得ない。不謹慎なようだが、観終わって最初に感じたのは、日本という平和で富める国に生まれたという幸運である。
ただ、何もできなくても、こういった現実が紛れもなく存在することを「知る」ことはできる。
知ることだけでもなにがしかの意味はあると思うのは、都合の良すぎる考え方だろうか。
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この状況に我々も加担している!・ 2007/6/14
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ゴールド・ラッシュによって町が生まれ、そこに人が集まり、流れ者を相手にする売春婦がたむろし、成金と落ちこぼれが天国と地獄の日々を送る――というパターンは、過去のことではなかった!!
ヴィクトリア湖畔には、魚肉の加工工場が出来、1000人ぐらいの労働者がいる。新しい職を求めて外からやってきた者たちは、すべてが持続的な職にめぐまれるわけではなく、劣悪な労働条件のもとで身体を壊したりしてしまう。漁師たちも例外ではない。そして、家庭破壊で家を失った子供たちがホームレスとなり、配給の食料を奪い合う...。
この映画を撮影するなかで、監督は、ロシア、ヨーロッパから飛んで来る飛行機が、空(から)では飛んでこない疑惑をいだき、インタビューを進めいて行くと、魚肉の運搬のためと思われていた飛行機が、アフリカの「内乱」で使われる武器輸入にもかかわっているらしいショッキングな事実も明らかになる。
目先の利益だけを考え、その結果を意識せずに行なったことが生態系とローカルな社会を破壊に追いやる実例。そして、武器流通の実態。このドキュメンタリーの描いていることは強烈で、まさに『悪夢』です。
以上、すごい映画に違いないですが、室外での撮影が多く、画面に白い部分が多く字幕が読めないことが多く、イライラしながら観ました。また、音楽もほとんどなく淡々と描いているから、盛り上がりに欠けるという側面もあって、不謹慎ながら途中なんどもアクビをこらえなければならなかったことを告白しておきます。
それにしても、世界の経済格差や貧困、そして戦争と環境破壊が、互いに入り組みあい、ほとんと構造化されてしまっている現状。この状況からの脱出はあるのだろうか...。
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悪くはない 2007/7/9
まず最初に、ドキュメンタリーにはナレーションが必要だと思わされた。
本作にはナレーションがなく、登場人物が自分の知っていることを漠々と述べる。(冒頭にテロップは挿入される)
『今インタビューに答えている彼は誰で、どういう立場なのか。そしてその場所は何をする、どういう意味を持つのか』等がやや判り難い。
また、字幕では圧倒的に情報量が少ないので、ドキュメンタリーこそ吹き替えを収録して欲しかった。
内容に関しては、『知っておくべき世界の現状』を上手く切り取った作品だと思う。
ここに描かれているのは、遠い異国のたった一つの具体例でしかないが、人間の本質的な利己的欲望を端的に象徴した事例である。
湖に放たれた外来魚を、日本の市場における規制緩和に置き換えることも出来るかも知れない。
そこに浮かび上がる現実は、当初考えられていた特定者の些細な利益を大きく凌駕する負の連鎖となって行く。
それでも自己に直接の被害が無ければ無視し続けるのだろうか?
冷暖房を備えた安全で清浄な地域から本作をビデオで観、アルコールを片手に疑問を問うている自分にさえ、自己嫌悪を禁じ得ない。
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『衝撃!! カメラは見た!アフリカ残酷物語』 2007/7/26
グローバリゼーションの悪夢の「システム」とやらを炙り出す映画のように宣伝されたが嘘。本作からはそんな問題は(監督の主観的意図はともかく)ほとんど見て取れない。
映画を見る限り、ナイルパーチが放たれたのも増えたのも貧困も飢饉もストリートチルドレンもエイズも売春も犯罪も、グローバル化とは関係ない。一方、漁村や加工工場や飛行場などで多くの雇用が確保されるのは明らかにグローバル化のおかげだ(切り身がヨーロッパや日本に高く売れる)。人々は取材に対し「ナイルパーチがいなければどうする」「仕事があるだけまし」「前よりいい」と言う。悲惨な現実の数々は貧困地域にありがちな国内問題であり、グローバル化ゆえに生じた悪夢ではなくグローバル化を通じて乗り越えるべき困難だ。
現地の諸問題が先進国とたいして繋がってないのと同様、個々の不幸話も冷静に見れば特に連鎖のない断片である。「暗い事実ばかり羅列してるけど明るい暮らしも普通にあるよな」と思っていると、ナイルパーチ問題の煽り映像について大臣が「湖の悪い一部分だけ強調せずに綺麗な箇所も見るべき」(大意)ともっともな苦言を呈していた。もちろん監督は明るい面など最後まで見せない。ナイルパーチ輸送機で武器が密輸入されてる、と噂で疑惑を仄めかすだけで証拠を出さないなど悪質な手腕を随所で見せてくれる。
そんな本作は、現地の食糧事情や雇用環境、湖の生態系といった根本部分で事実の歪曲が見られるとして厳しく批判されている。煽り万歳・捏造上等・他人の不幸とグロ映像を楽しむ悪趣味見世物小屋映画として割り切れば良い…と言いたいところだが、この監督はどうも大真面目のようだ。そのうえ取材される怪しげな貧乏人たちがまことしやかに「お話」を語ってしまうなど演出が露骨で素直に楽しめない。珍映像の数々に「頑張ったで賞」の星三つ差し上げたかったが、監督のボンクラぶりで減点。星二つ。
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現地の人々を支配するどうしようもないと言う“諦感”の思い。 2007/7/26
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まずこの映画、ヴィクトリア湖の生態系の変化が、悪のグローバリゼーションに繋がり、我々日本の食生活にも因果関係を及ぼすと言う様なセンセーショナルな謳い文句は、間違ってはいないが、些か誇張があると言っておきたい。そのうえで、今作で描かれている事は、なにもこの地域だけの問題ではなく、アフリカ全域で起こっている事実であるだろうと認識する必要がある。貧困、飢饉、エイズ、薬害、暴力、紛争、環境破壊、、、正に、この世の果てとも言うべき過酷な日常を生きる人々。その映像を見せられて、大国の帝国主義による植民地施策の歴史、搾取、他民族との軋轢、飢えたる大地、教育文化不毛の地、即ち、世界が悪い、社会が悪い、環境が悪い、国家が悪いと訴求する事は容易いが、彼らを支配するのは、どうしようもないと言う“諦感”の思想だ。神は富める地域とそうでない地域を作った、と語る現地の民の声、生まれながらにして、“絶対的不平等”と言う現実を甘受する彼らの姿に、なんともやるせなく暗澹たる気持ちになってくる。
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予備知識を仕入れてからご覧になった方が良いでしょう。 2007/10/13
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NHKなどでよく制作されているニュース・スペシャル番組のようなドキュメンタリー作品である。そういう作品であるという前提でご覧になる必要がありそう。インタビューの積み重ねと想像を促す映像をスパイラル状に組みあわせて、視聴者に一つの推論をイメージさせるに到る。証拠、証言が掴めない場合に用いる情報メディアの手法のようである。見る前は、ヴィクトリア湖の生態系の破壊を描いた作品という先入観があったが、湖の生態系を破壊した人間自身の生態系がぶっ壊れていることを俯瞰する意図があったのではないかな、とチラリと頭を掠めた。魚の生息域をそっくり入れ替えたら、その影響が魚だけで留まるはずはない。人間自身にその影響は及んでいるのだがその関係を映像化したという点では大変評価できるが、正直、余りに抑制を効かした進行で全部につきあうのはシンドイという感じも受けた。そういう意味では、前もって予備知識を仕入れてご覧になったほうが良いと思う。環境問題と社会・政治問題との相関関係を知りたいと考えている方には参考になると思う。
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へたくそなドキュメント映画だがテーマが凄い! 2007/7/16
ナイルパーチは、日本でもスーパーで売られている。
多くの国民は食している。スーパーの弁当の魚のフライによく使われる。アフリカのビクトリア湖は多様な生物が生息していたことからかつて“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていた巨大湖だったのが、この強大な魚を巡って、金がばらまかれ、売春や麻薬、ストリートギャングやチルドレンなど社会悪が噴出する。魚の処理を巡っての場面も凄まじい、身を取った頭や骨を利用したり、食したり、金にしたり、山のようにゴミとなり、悪臭や環境破壊する。これは、まさにアフリカからの訴えである、南北問題を強く感じさせられる映画であった。
しかし、なんともへたくそな映像で、星を落とす。
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本当に最適な生物は・・・・ 2007/8/5
生態系を破壊した肉食魚・ナイルパーチ。輸出品として身をそがれたナイルパーチの残骸・大量の頭が口をあけて天を見あげます。
「環境に最適な生物が生き残る」ならば、本当に最適の生物は・・・?
構成はメッセージ性がきわめて強く、いわゆる「ドキュメンタリー」ではありませんが、
その取材の圧倒的な接近感に衝撃を受けずにはいられません。
「眠ることがあらゆる恐怖から逃れられる唯一の術」というリアルな「悪夢」を、是非ご覧ください…。