タクシードライバー スペシャル・エディション(2枚組)のレビュー
トラヴィスの孤独感 2007/8/5
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仕事仲間もいて、ガールフレンドも出来そうになり、売春婦の少女との交流もあるが、トラヴィスは終始孤独である。仕事仲間は相談を持ちかけても彼の期待するような返答は返ってこないし、ガールフレンドは高級ポルノ映画館に連れて行っても喜ばない、売春婦の少女は現状から救ってやりたい彼の好意を冷たく笑う。
大統領候補暗殺に失敗したトラヴィスにとって少女を救うための戦いとは、現在の閉塞感や孤独感から逃れるための戦いであり、少なくとも正義の戦いではない。最後にトラヴィスを振ったガールフレンドが、彼の車に乗車してくる。新聞記事でトラヴィスの少女救出劇を知った彼女はトラヴィスを誤解していたかもしれないと思い、再度、彼とのコミニュケーションを図ったのだろう。しかし結果的に英雄に祭りあげられただけの記事を読んで態度を変えられても、自身の内面的な孤独感や閉塞感が何一つ変わっていないトラヴィスは、彼女が自分を理解し得ないことを知って、それ以上のコミニュケーションを拒否して降車させ、彼は再びニューヨークの闇に消えていってしまう。おそらく二度と他人に心を開くこともないであろうと暗示させて映画は終わる。人間の孤独感を描いてこれほどの傑作はない。
(臭い演技を始める前の)まだ演技派だったデニーロ、大作を撮るようになる前の刃物のように鋭く切れ味のいい演出ができたスコセッシ、最後の名曲を提供したバーナード・ハーマン、若き日のハーベイ・カイテル、ジョディ・フォスター、シビル・シェパード。多くの才能が結集し、開花した奇跡的な傑作。
この映画は私にとって、永遠不滅の一本です 2007/11/22
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どこへ行っても寂しさのつきまとう男、主人公のタクシー・ドライバー、トラビスを演じたロバート・デ・ニーロの若くて、クールで、かっこいいこと! 当時31~32歳くらいのデ・ニーロの身体の、筋肉質で引き締まっていたこと! 彼が放射する青白いオーラに、まずやられました。
マイケル・チャップマンの撮影、バーナード・ハーマンの音楽もいいですよね。なかでも素晴らしかったのが、夜のNYを、トラビスがタクシー・ドライバーになって流すところ。サックスが歌うジャジーな音楽が、夜のNYの街の灯りを撮影したシーンにかぶさるところ。何度か出てくるこの、ミッドナイト・NY&タクシー・ドライバー(トラビス)の場面がよかったなあ。
あとは、そう、当時12歳のジョディ・フォスター(売春婦のアイリス役)と、ロバート・デ・ニーロ(トラビス)が会話する場面も、心惹かれるものがありましたね。トラビスが女の本名を知りたがり、女が彼を信頼して、「アイリス。変な名前でしょう?」と答える場面をはじめ、孤独な男と夜の女が心を通わせるところがいいなあと。
今から三十年以上前の映画(1975年撮影、1976年公開)ですが、たぶんこれからも、若者の心にナイス・ヒットしていく作品。私も学生時代にこの映画と出会って、映画好きの友人と「いいよね」「いいよなあ」と語らって、以来、何度も観てきました。でも、ちっとも古びていないんですよね。この映画は私にとって、永遠不滅の一本です。
オールタイムベスト。1年早かったパンク。 2007/9/18
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正義でオブラートした狂気の爆発がこれほど気持ちいいことを教えられて31年。中学3年だった私も46になりますがあの時の印象は少しも色あせないです。テーマはともかくモヒカン、44マグナム、M65ジャケット、自室でのトレーニング、パイロットグラスなどのキーワードが頭をぐるぐる駆け巡りオマージュに満ちた松田優作の遊戯シリーズへと思いは飛びます。狂ってるけどかっこいい。ヤバイです。この映画を観た翌年1977年、パンクロックがやってきました。
長距離ランナーの孤独 2007/9/11
「長距離ランナーの孤独」という古い映画があった。従順に走り続けたランナーが、走らされて
いる矛盾に気付いた時、突如立ち止まりその社会に向かって冷笑を浮かべる。という内容だった。
「タクシードライバー」は現在の長距離ランナーの孤独を描いた映画だと思う。
静と動、愛と暴力、優しさと冷たさ、・・・。
その振幅が大きくなり、やがて極限を超える時、トラビスの心は爆発する。
主人公トラビスは、大統領候補に「この街を水洗トイレのように洗い流して欲しい」と言うが
実際そうしたのは、自らが握った銃だった。しかし闇を撃っても心の孤独は止みはしない。
けだるいアルトサックスの音をバックに、夜の街を流す車窓から見る雨に煙るネオンは、
まるでサム・フランシスのにじみの絵画のようだ。一変して、殺戮現場の壁に飛び散った
血飛沫は、まるでジャクソン・ポロックによるアクションペインティングだ。
皮肉にも、N.Y.が最もN.Y.らしい時代だった。
日本語吹替え! 2007/9/30
内容はみなさんがおっしゃるように保証済み。映画史に残る傑作に間違いありません。今回、何度目かの再リリースですが、目玉は日本語吹替え入りでしょう!秀逸だった津嘉山正種バージョンではありませんが、全体的な雰囲気は悪くないです。オリジナル音声、字幕で何度も観ている映画を、新録の吹替えで観るのが新鮮で楽しいです。
これは寓話なのかもしれないと思い続けて30数年、、、 2007/9/16
30数年前以来、見るにつけこの映画は「まったく笑え無い寓話」だと
思っています。それが、解説の「混乱と狂気」に繋がると思いますし、
「帰還兵の闇」で片付けるとしたら、ストーリがあまりに突飛すぎます。
振られた腹いせに暗殺を企てるが失敗、振り揚げた手の下ろし先を探したら
英雄に、、、、
理由も語らず、モヒカンにするあたり(暗殺には目立ちすぎ)に、
監督の意思表示を感じます。
ベトナム帰還兵という伏線はあるにせよ、普通のタクシードライバーを「混乱と狂気」が飲み込んでいく街として描かれたニューヨーク。
あれから30数年、まるで予言だったかのように混乱と狂気が世界に拡散していきました。まさに作品の先見性を感じます。
これ系映画の金字塔的作品 2007/9/30
くだらない消費だけされていく映画が氾濫する昨今、
この映画はいつまでも色あせることなく時代を超えて語り継がれていくことでしょう...
必見です
闇 2007/10/12
中学生の頃に兄に薦められてビデオで観ました。その時はスゲーとか悪をやっつけるヒーローとか幼い感想でした。今見直すとアメリカの闇がこれまでかと描かれてる。孤独による苛立ちを彼女にふられた鬱憤を大統領暗殺未遂に向けたり少女救出に向けたり…冷静に観ると常軌を逸してます。挙げ句ヒーローに祭り上げられる。これはまさしくアメリカの闇を描いた最高傑作です。当時の空気感がひしひしと伝わる!デニーロみたいな役者が日本にも欲しい。
都市に住む者の孤独 2008/2/12
今、見てもその衝撃は薄れない。
バイオレンスと孤独感が入り混じったあの雰囲気にひかれる。
10代の不安定な時期にこれを見て、自分は筋トレをしていた。
当時、この映画を支持したのも一人暮らしや若い男性が多かったと聞く。
暴力的というよりもただ、ひたすら自分の目的を遂行しようとする
トラヴィスにある種の羨望を覚えるかもしれない。
いつの時代も孤独に苛まれる人間は消えない。
都会に住む人間ならば、それは顕著になる。
現代社会の中で分かり合うのは難しい。
そして、そんな社会の中でトラヴィスのような孤独な人は今も世界中の都市に住むのだろう。