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見応え十分、そして、良い意味でタブロイド紙を読んでいる感覚でも楽しめる。 2007/8/12
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チャールズとの不仲、離婚を契機に始まるダイアナとイギリス王室の確執の歴史は、タブロイド紙を筆頭にしたマスコミの煽動も加わり、絶えず世界中の人々の間で格好の関心事であった。今作は、衝撃的だったダイアナの事故死直後の王室と政府の対応を、エリザベス女王と当時就任4ヶ月だった現首相トニー・ブレアのせめぎあいと駆け引きを通じて、新旧世界観の対比と混沌を、それこそゴシップ的な要素もふんだんに盛り込みつつ、伝統と品格、秩序を背負った国家元首としての、そして、時代の流れと価値観の変動、大衆からの乖離に戸惑いと不安を隠しきれず寂寥感に苛まれる世界で最も権威ある女性としての、“Queen”の実像に見事に迫っている。演ずるヘレン・ミレンの、各賞を総なめした演技力は絶賛の名にふさわしいものだが、彼女自身、王室制廃止論者であるものの、役作りのリサーチをしていくうえで、ひとりの女性として女王に魅力を感じていったとインタビューで語っている。それにしても、この映画がどれだけ事実に即しているものなのかは分からないが、両者の周辺にいる者たちの、双方を見つめる視線の、なんと辛辣で悪意に満ちている事か。彼らのほとんどが、今なお現役で存命している事を考えると、よくぞここまで描けたものだと思う。少なくても、日本では、絶対に無理なオハナシだ。
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ヘレン・ミレン、巧すぎ 2007/9/3
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派手な見出しに釣られてゴシップ紙を買ったつもりだったのが、中身を読んだら朝日新聞だった。という評がありましたが、本作は、まさしくそんな感じです。
タイトルどおり、エリザべス女王が主役であり、ダイアナ元妃のスキャンダラスな事故の真相を描くものではありません。英国王室初の試みである、元ロイヤルファミリーの国葬を営むことになった彼らの混乱ぶり。
そして、その当時の新首相ブレアの活躍(?)ぶりが描かれます。ダイアナの死、それを知る瞬間、女王の決断の瞬間、と言った物語上は核となるクライマックスを、敢えて画面には直接出さない、という「見せない演出」で映画に品格を与えています。
ヘレン・メリルの立ち姿や声の上品さ、ファッションなど、細部の面白さもあります。おばさん(失礼!)ながら、レンジ・ローバー(4輪駆動車)を自分で運転するなど、かっこいいです。また、チャールズ皇太子はやっぱり女王と皇太后に頭が上がらないんだな、ということも改めてよくわかりました。
まぁ、全体的に実際の舞台裏は、こんな生っちょろいものでは絶対にないだろうけど、想像するだけしかない王室の内幕を私のようなミーハー的、興味本位の観客も厭きさせない104分でした。観る者の立場や主義主張によって本作の受け止め方は違うしょう。でも、受け手がどう感じるかに関わらず、優れたドラマであることは間違いないです。
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孤高の女王の沈黙から十年、必見の話題作 2007/10/17
ダイアナ妃の事故死直後から葬儀におけるスペンサー伯(ダイアナ妃の弟)のウィンザー家を激しく突き上げるスピーチまで、エリザベス女王の沈黙、特に、彼女がなかなかスコットランドの別荘から戻らなかったことは、この映画にある通り、イギリスのマスコミから非常に厳しくバッシングされていました。
映画では、関係者の証言にも基づいて、はじめてエリザベス女王の側から当時の様子が描かれています。悲劇にも関わらず、女王の夫、エディンバラ公が、ダイアナ妃のビデオを繰りかえし見ているエリザベス女王に「おい、もう寝るぞ、キャベツ」と声をかけるような、王室一家の微笑ましいエピソードも随所に散りばめられていることは、タイムズ紙でも紹介された通りです。
ヘレン・ミレンは、エリザベス女王の気高さ、健気さ、そして、隠し持っている女性としての可愛らしさ、といったエリザベス女王の魅力の全てを表現して、女王が慕われる理由を余すところなく伝えています。スコットランドの素晴らしい自然を背景に、イギリス好きには堪えられない映画でしょう。
一方、それ以外の“そっくりさん”達がやや貧相なことには不満も残ります。なかでも、ブレア首相に協力して女王の説得に努めていたとも言われ、ダイアナ妃の実姉と共に迅速にパリに向かったチャールズ皇太子についてはどうでしょうか。たとえば、ダイアナの棺を載せた飛行機がロンドンに到着した際、軍服姿のチャールズ皇太子が最敬礼をもってこれを迎えた写真は新聞各紙で大きく一面で報じられていたのですが、なぜか映画では省略されていました。
ドキュメンタリー映画とは一線を画して鑑賞されるべきですが、10年を経てなおあの事故死の真相を問う声の高いイギリスでも、大評判だった映画です。なお、同じスタッフで、フォークランド紛争を描いた映画を製作するという情報があり、これも楽しみにしています。
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女王への敬意に満ちた力作 2007/10/7
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やっと家の近所のシネコンで本作を鑑賞する機会を得て、台風の中を出かけて行ったのだが、それだけの価値のあった力作である。既に他のレビュアーの方が解説されているように、ダイアナ死後、王室の尊厳を守ろうとしてもはや王族ではない民間人に追悼の意思を表示することを拒否し続けた女王が世論の非難を浴びるに至り、王室が存亡の危機に晒されることを危惧した、首相就任から日が浅いブレアが女王に進言し、その進言を受け入れた女王がロンドンに戻り、ダイアナ追悼の声明を発表し、再び王室が国民からの敬意を回復する(少女が花束を差出し、女王がそれを受け取るシーンが感動的)までの1週間に的を絞り、その中で女王の生活(例えば、女王が自分で車を運転し、車の構造に詳しいことを初めて知った)、威厳を守ろうとする苦悩、そして国民の声に応える果敢な決断をし、死んだダイアナとのある意味戦いにおいて、少なくとも引き分けに持ち込む様を描いた力作である。王室の在り方を含め色々考えさせられるが、現存の王族や首相の生活をここまで映像に出来るのかということに最も感心した。日本ではちょっと考えられない。ここまで開放的なことが羨ましくもある。でも結局は女王の人格の高潔さ・決断力こそが現英王室の支えであり、その卓越した人間としての大きさ(ブレアも結局は包みこまれる)に誰しも感嘆するだろう。広大な狩場の空撮、その中で1人苦悩する女王、そしてまるで本物の女王・ブレア夫妻であるかのような俳優の熱演、細部にまで凝った王族の生活の再現等、見所満載の傑作である。
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とにかくヘレン・ミレン 2007/8/17
彼女の演技は筆舌に尽くしがたい。
完璧。すごい。プロ。
本物の女優って感じ。ブレアさん役の俳優さんもなかなか似てたけど、ヘレン・ミレンの演技は、どう表現したらいいのか言葉が見つかりません。
ストーリーもじ~んときました。
ただしどの程度事実に基づいているか分からないので星5つにしませんでした。
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悪者でも不当に非難され続けた被害者でもない、威厳と知性を兼ね備えた女王を描いた傑作 2007/12/2
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高価な服を着て、ロック・コンサートに登場するダイアナ妃が個人的には好きではなかった。王室の風習が嫌なら皇太子と結婚しなければよいだけであり、離婚後の彼女がいくら世界を廻って様々な活動をしても、私生活ではリッチな男性と付き合って贅沢をしていたわけで、それがいけないとは言わないが、他の王室のメンバーだってずっと活動はしていたはずであり(ただし報道はされない)、なぜ彼女だけ評価が高いのかわからなかった。だからダイアナの死後、自分が悪いことをしたわけでもないのに攻められ続ける女王には同情した。しかしこの映画はそういった同情の声をも寄せ付けず、威厳と知性と母性の豊かな人間としての女王を描いており、同時にブレア首相の反応(主に戦略面として)も並行して描くことで、より面白くなっている。
この映画に描かれている多くの事の真偽は不明だが、少なくともあの時の異常なヒステリックな状態より、現在は皆が冷静に見れるだろうし、なによりもヘレン・ミレンという適役を得て作品としての風格も十分にあった。最近のアカデミー賞は実在の人物の伝記映画でのそっくりさんの受賞ばかりだが、このヘレン・ミレンの演技は別格という気がする。セリフの多くは創作であろうが、皇太后が女王に言う言葉で「あなたが辞めるのが心配ではなく、あなたの辞めた後が心配だ」というセリフは頷ける。
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さすがの演技力 2007/10/26
個人としてよりも君主であることを選んだエリザベス女王と、
ロイヤル・ファミリーである前に、個人であることを選んだダイアナ妃。
対照的ゆえに、メディアも国民も注目した。
皮肉にもダイアナ妃は自らの死によって、
国民からの熱狂的とも言えるエールを受けることになった。
一方マスコミは、女王へのバッシングを連日報道し、国民の不満をエスカレートさせる。
戦後まもなく即位し、それ以来ずっと自分の人生を国に捧げてきた女王に、
今、その国民が背を向け、怒りさえぶつけているという現実。
女王は、、戸惑い、苦しみ、怒り、そして悲しむ。
その孤独が、スコットランドの自然のただなかにひとり佇む女王に一瞬涙を溢れさせる。
だが最後には、女王としての強さを取り戻し、
バッキンガムに戻り、生中継でのスピーチを行うのだ。
主演のヘレン・ミレンの演技は、
視線、表情、手の動き、歩き方、そしてクイーンズ・イングリッシュ、
その全てがさすがとうならせる。
撮影中、周囲が“女王を演じる”彼女に目を合わせようとしなかったというのも、
それだけ女王らしかったということを表すエピソードだろう。
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気品と威厳 2007/10/31
英国の古い体質を嫌う人も多いと思います。私自身も,若いときに英国にホームステイをして,英国人の独特の話し方や気取り方に抵抗を感じました。
しかしながら,現代社会が,妬みや嫉妬で渦巻く世相になったことに気付く人は多いと思います。
この映画は,女王の「気品と威厳」を,いやみなく映し出しています。また,この映画が評判になったことは,人間にとって必要なものである「気品と威厳」について,人々が再認識し始めていることを示していると思います。
英国人の「気品と威厳」は,日本人における「恥じ」の文化に通じると思います。昨今の日本人は,「恥じ」の文化を捨て去ってしまい,嫉妬深い嫌みな人間になっていると思います。
この映画は,現代人が失ったものの大きさを感じさせるとともに,いまだに「気品と威厳」を保ち,英国が英国として存在するidentityそのものである女王の苦悩を映し出しています。
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the depth of shallowness 2007/11/11
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コメディという世間での評価と違い、これを見た私自身は絶句してしまいました。それなりのそっくりさんを使いリアリティを出しているのですが、そのデフォルメの作業があまりにも的確で、オリジナルの人物のグロテスクでshallowな本質をかえって浮き彫りにしており、笑うところではなかったというのが正直な感想です。ダイアナ妃という現代の英国が生み出したshallownessの極致ともいうべき人物がこの作品の影の主人公です。いやダイアナ妃自体も大衆消費メディアのひとつの道具だったのかもしれません。いやメディアだけではなく、価値の空白状態に落ちいって感情がマヒしてしまった現代社会ののぞき趣味こそが主人公なのかもしれません。ここで描かれるブレア首相(特に首相夫人)の低俗さと価値破壊への陳腐で子供じみた情熱は、生理的な嫌悪感さえ与えるものです。そしてこの低俗さの象徴ともいうべきダイアナ妃の死亡を利用して、ブレア首相はチープな動機に基づく政治的な攻撃を王室に仕掛けます。この攻撃の中で、王室も低俗な自己保存の動機に促され、政治的な対応と妥協を余儀なくされます。この一連の流れの顛末はもう有名な大ページェントですが、そこでは大きな何かが確実に失われています。いやもう失われていたのかもしれません。映像を通してのその喪失の提示こそが、この映画の隠れた狙いなのです。sue townsendの”queen and I”からは、だいぶ遠くに来てしまったようです。
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リアルな再現フィルム 2007/11/22
ダイアナ妃の事故に対する対応を、王室側と政府側の視点でとらえた作品。他のレビュー同様に、コピーをみて、陰謀論的な作品と勘違いして観に行ったが、さにあらず。
あっと驚くような部分はないまま淡々と進むにもかかわらず、時間の長さを感じなかったのは、普段目にしない王宮からの視点で事件をみることが新鮮であると同時に、一目で登場人物が理解できる構成や配役、演技のうまさにあると思う。登場人物の動揺や迷走などは、実際そうであったろうと納得できるほどリアルで、ドキュメントに近い作品であろう。ややブレアの演技が大げさかとも思ったが、それが正しい描写なのかもしれない。英国王室に対しては反感を持つ国民も多いが、女王たりとて結局は一人の人間(ただし責任は大きいが)であることも理解し許容しなければならない。一般の少女が女王に花をわたすシーンにこの映画のメッセージを感じた。
何度も観る作品ではないかもしれないが、一見の価値はある。星4つの評価。